富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-07-22

農歴六月廿日。大暑。早晩にFCCに行くと隣のFringe ClubでEddie Lawなるアマチュア写真家の写真展開催あり参観。日本でも個展開くアマチュアの画家や写真家といふと医者など多いが、この方は投資銀行家。香港の撮影師では大御所の陳紹文氏の弟子筋の由。FCCで赤葡萄酒(Zonin Chianti 06年)二杯飲みBLTサンドヰチを折にしてもらひ、それを提げてクレジットカード会社で映画招待券2枚いただいたのでZ嬢とIFCの映画館でバットマン“The Dark Knight”参観。映画の導入部で通しで10分ほどだが香港の中環が舞台となり(昨年末だかに撮影あり大騒ぎ)その映画に登場するIFC、その建物の下の映画館で同作を観てゐるのは、小学校1年の時に郷里で親友のY君の家が映画興行主で招聘のザ・ドリフターズの映画「誰かさんと誰かさんが全員集合!!」のロケが近所で続き、それを映画館で観た時のやうな不思議な気分。ロードショー公開の商業映画はほとんど見ないのだがアクション映画はスパイ物や刑事物映画の好きだつた父に連れられた思ひ出もあり。それにしても悪役のジョーカーを殺せる機会が何度もあるのにそれを逸するのは、まるでアルカイーダであるとかビン=ラデン師が捕まらぬ(あるいは死が確認されぬ)のと同じこと。先週末号のThe Economist誌のアルカイーダ特集記事の中に“The self-destructive gene”といふ記事あり“Al-Qaeda was never going to be a mass movement. It takes only a small cadre of dedicated terrorists to wreak havoc, particularly if havens are available. In any case, Mr bin Laden retains a sizeable core of support in several countries, and Western mistakes could easily boost that.”といふ指摘あり、これがジョーカーにも当てはまりさう。それにバットマンの敵役はジョーカーにしろペンギンマンにせよ何処か誰でも人格の内面にある二面性のやうな悪で、だからこそ殺すこと=消去ができない、のかしら。
▼今月上旬、広州のテレビのキャスターが全裸で中国各地で腕立て伏せをするパフォーマンスをこの日剰で紹介。あたしは「做俯卧撑」をこのキャスター本人のコメントから蜀の大地震での苦難に打ち勝つ……と「做俯卧撑」を故事成語の如く紹介したが、これについて実は伏線あり、と教示あり(蛙鳴さんより)。六月下旬に貴州省で暴動あり。少女が顔見知りに呼び出されて暴行を受けたうへ河に投げ込まれて死亡した事件。すぐに釈放された容疑者が警察関係者(公安の息子かなにか)であつたことから抗議が大規模な暴動に発展し、抗議に参加してゐた被害者の叔父が公安に殴り殺されるに至つた事件。暴動の拡大に対応し当局は目撃者の証言に基づいて再捜査した結果として「少女が川に「飛び降りる」直前、橋に一緒にゐた男性は強姦ではなく「腕立て伏せ(做俯卧撑)をしていただけ。腕立て伏せをしてゐたところ、少女が川に飛び降りた」と発表。あまりに衝撃的で呆れて嗤つてしまふばかりだが件んの広東電視台のキャスターの写真はこれを受けたもの。なるほど。ご教示深謝。
▼北京のDazhao氏の三度前の来港の際だつたか一緒にTaikoo Placeで参観した香港情緒あふれる市街の建物のミニチュア模型の展示。鉄道模型などもよくするDazhao氏より「かなりショック」と知らせてもらつたのは、その模型の破壊具合。一人の模型製作者の作品が香港貿易発展局の仲介で杭州に展覧。その旅から帰つてきた模型の有り様がこちら。扱ひもひどいが香港貿易発展局の担当者の対応の悪さ、冷たさが更に不愉快。今後の対応を見守らう。ところで本日、この惨状を見て驚いてゐたところに丁度、郷里の母から重たい小包が届く。実家にたまつたアタシがネットで注文の書籍など帰省も久しからず母が航空便で送つてくれたもの。日本の各地の古書店の丁寧な梱包といひ母のパズルのやうに見事な小包の詰め方といひ素晴らしい。模型の破壊を見たあとだけに痛く嬉しいかぎり。

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