富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-07-13

七月十三日(日)幾度か驟雨あり。所用あり午後三時頃までご公務。出先の庫裡も今やWi-Fiの時代。Apple社からのMobileMeが公開となつたことを知る。これはApple社の.Macの進化でネット上のサーバーを通じMac機であるとかiPhoneiPodでのメールやスケジュール、アドレス帖管理を一括してシンクロで行ふ、といふもの。便利さうだがデータ流出とか怖いところだがMacBookiPodのデータシンクロは有難いところ。帰宅してさつそくダウンロード。iPodのバージョンアップが有料であることや.Macの頃から今度のme.comまで年間使用料が有料であること(香港で年間HK$750)などApple社も狡すいといへば狡すくて、設定も一発ではシンクロせず何かと調整の要ること(とくに時間設定が基本設定が米国西海岸になつてをり、こんなの利用者のセッティングで世界の何処か解るのだから自動的にその地区の時間にできると思ふのだが)など相変はらず、ちよつと工夫していかないと正常に作動せず。胡桃と豚ミンチのパイ、美味い馬鈴薯隠元豆をバター炒め。冷蔵庫に白のつもりで冷やしてゐた葡萄酒を開栓したらロゼのやうな赤、は豪州のTreehouseのPinot Noir 04年。Pinot Noirといふが常識的なPinot Noirとは全く異質の、何とも独特の軽めの赤で冷やした方が断然美味いやうで而もパイに不思議と合つて好運。iTuneで今年2月23日に放送のビートたけしオールナイトニッポン(特別番組)をダウンロードして聴く。この番組での全盛期彷彿させる滑舌で、高田文夫の間の手がやつぱり絶妙。なんだか話芸を続けて無性に聴きたくなり黒門町の「愛宕山」を聴く。アタシは残念ながらこの八代目文楽は生では聴いてをらず。この黒門町の「愛宕山」や「明烏」は中学生の時分、上野鈴本で購入のテープ音源で聴き親しんでゐるが、同じ噺をiTuneでダウンロードしてWi-Fiで飛ばして寝室のBoseで聴くといふのも隔世の感あり。そのうち3D技術で目の前に高座の文楽師匠が浮かび上がり……なんて時代になるのかしら。
▼Tyler Brûlé氏が今週末のFT紙の連載(The Fast Lane)“What the G8 summit lacked”洞爺湖サミット取り上げてる。今回の大役は警備のため日本各地から集められた警察官だが実は洞爺湖サミットで一番笑ひが止まらぬのは彼ら警察官が土産に買つたチョコレートのロイスであり、道産のずわひ蟹。で警備が最も必要だつたのは洞爺湖のサミット会場ではなくサマーセール中の札幌三越であつた、と。で、サミットの日本、洞爺湖開催が正しかつたのか、と東京から倫敦に戻るフライトでTyler氏はKrugのシャンペンを飲みながら考へる。フライトの航路図を眺めながめたTyler氏、例へばフィンランドヘルシンキ、或いは郊外のリゾートこそ最適ではないか、と。実は北極圏を介して欧州とアジアを結ぶ位置にあり、北欧国家の政策こそ今日の世界各地の国々が学ぶべき点多きものあり、と指摘。少なくともG8首脳がサウナで裸で語り合へるだらう、と。御意。ところでふと思つたがTyler Brûlé氏のこの筆致、今は世界の注目だが、Tyler Brûléのこれつて日本ではもう四半世紀も前から、の田中康夫ちやんの世界そのまま。

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