富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-07-02

七月二日(火)早晩にFCCでドライマティーニ二杯。北京より畏友O氏夫妻来港で鏞記にO氏と同様に競馬と鉄道の好きな九龍在住のO君、Z嬢と晩餐。鏞記はつひに酒持込みの開栓費を徴収、と旧知の給仕J嬢に事前に知らされてはゐたが1本あたりHK$100は自家の葡萄酒の値づけ同様に強気すぎ。斎藤さん、入江さん、これからどうしませうか?、の一大事。肆にしてみれば異常なほどの諸物価高騰で店の収益を当然上げたいところ、これ迄にも増して葡萄酒関税撤廃で鏞記の客など酒客多く葡萄酒を大量に持込み呷るやうに飲まれてゐるのをむざ/\傍観は出来ぬ、の判断なのだらうが。肆のワインリストは鳥渡眺めただけだがそれなりに充実。今晩はこれまで通り持込みで豪州はCape Mentelleのシャルドネ07年とコートデュローヌのGuigal Crozes-Hermitageがちよつと安めだつたのは04年産ゆゑ。いろいろ料理楽しんだが例湯が絶品、たんに玉蜀黍と人参、牛の肋肉のコンソメなのだが、これが溜め息がでるやうな美味さ。中華でありながら肆は千客満来で忙しいのに料理は白と赤に合はせタイミングよく供され食後のお茶まで完璧な接待に感服。今晩は両O氏の殊に鉄道と鉄道模型の細かい部品やモーターの話などかなり緻密な話。なぜ競馬と鉄道好きが被るのか、と明確な理由はわからぬのだが、どちらも競馬新聞や時刻表など「データ好き」といふところか。
▼右肩の4コマ漫画がかなり傑作(こちら
朝日新聞で連載の「奔流21 中国」下「変はるメディア」が香港のメディアを語る。香港メディアが次々と大陸資本に買収されるなかで、香港染める「赤いメディア」と。気になつた点はいくつか……香港の二大テレビ局のうちTVBを「娯楽番組に強い」と紹介するのは妥当だらうが対するATVを「ニュースに力を入れる」とするのは正しいか些細な疑問だが、例へば大陸資本を「赤い」と表現することの妥当性。かつての王光英氏の光英実業公司であるとか「赤い資本」の代表格だつたが中信集団(CITIC)が赤い資本なのか、大陸資本の香港メディア買収は香港の赤化が目的なのか、香港の東方日報や星島日報の大陸での新聞発行開始は「香港メディアが赤く染まつた」結果なのか。香港の報道の自由は低下したか。いづれもアタシの答へは“No”である。もはや大陸の企業は「利潤目的で」政府系であることが有利だからその立場にあり、香港の新聞業も香港内での新聞発行では市場に限界があるから(更に世界的な新聞購読量低下もあり)市場拡大のため大陸進出が必要で当然その政府の報道管理に従順する。大陸資本の香港メディア買収とて赤化が目的ではなくテレビでいへば広東省で広く視聴される巨大メディアであるから企業価値があるから買収する。すべてが利潤ゆゑ。赤く染まるどころか、すべて利潤、利潤、利潤だらうに。

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