富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-06-29

六月廿九日(日)雨。今月の雨量昨夕迄に1,245mmに及び1889年5月の記録超え香港開闢以来の雨月となる。午後まで陋宅書室にて机に凭り書きもの、書類整理。午後、Z嬢と油麻地。上海街視藝空間(Shanghai St Artspace)なる空間。先頃『香港老店』なる老舗(ただ歴史があるだけぢやなくて建物も品揃へも昔のまま、のやうな)ばかり撮つた写真集出した呉文正のその老舗写真と蘇俊怡なるイラストレーターによる老舗観察のイラスト。『香港老店』はこの空間に入るなり写真集の半切と同じ大きさのプリントでがつかりしたが実は全写真を二巻の巻物に仕上げ而もプリントは左右の写真が一切途切れぬ凝つた装丁がお見事。碧街の葫廬館なる店で薑汁撞奶(ジンジャーミルク)。原味! 尖沙咀のSpace Museumの冷蔵庫の如きテアトルでドキュメンタリー映画周恩来外交風雲』観る。今年は周恩来生誕110周年ださうで香港で国威発揚周恩来モノの映画上映数本。十年前の生誕百年で党中央が製作のこのドキュメンタリーはプロパガンダ色もけして強烈に非ず(せいぜい中共が戦後の米ソ冷戦のなかで第三の地位で独自のAA諸国支援の独自外交を貫いたこと=周恩来の功績、と)貴重なフィルムの場面も多く面白く観る。カンボジアシアヌーク皇太子家族との団欒、印度のガンジー首相逝去での号泣、アフリカ歴訪、浅沼書記長率ゐる社会党や高崎訪中団の受け入れ……等々。1971年にパキスタンから隠密にパ政府機で北京入りするキッシンジャー博士を迎へる北京空港での多少落ち着かぬ姿。一つ気になつたのは老いて病に犯され痩身の痛々しい姿で「自らが築き上げてきた外交は鄧小平同志に託し」と北京空港で鄧小平を見送る周恩来の姿。鄧小平が華盛頓でカーター大統領と並ぶ姿がフィルムに映るのだが、ふと思へばこの訪米は79年のはずで北京空港で鄧小平を見送る周恩来はどう考へても75年以前のもの。アタシの見間違へかしら。周恩来外交は特筆に値するのは当然だが、アタシは寧ろ『周恩来内政風雲』こそ実は知りたい。映画跳ね尖沙咀で韓国料理を食さうとHumphreys Rdの錦城、Kimberley Rdの清渓川、荘園、Austin街の豐園と巡るが何処も満席でChatham Circleの韓国宮に辿り着き白菜(実際には青菜)のチゲと辛さ手強き冷麺。真露はほんと昔に比べ味がマイルドすぎ。
▼東京で二度目の五輪開催の賛否(朝日新聞29日衛星版文化面)。
是枝裕和監督……国威発揚をオリンピックの目的と口にするような時代錯誤の知事が旗振り役をしている一点において支持する気など100%失せる。
評論家・呉智英氏……私は、見るスポーツで帰属意識を刺激するスポーツは大嫌いである。自分がやるわけでもないのに選手と同じ帰属意識を持って一喜一憂できる人の気持ちがわからない。やりたきゃやれ、である。

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