富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-06-22

六月廿二日(日)旅先で朝寝貪るはずが昨晩三更半夜に寝ても悲しいかな空の白む朝五時には目覚める老いの身。夜明けを待ち朝の散歩。ホテルに近い五羊新村。何でもない都市型の集合住宅地なのだが深い味はひあり。その一つの理由はここがまだ周囲が畑だつた頃に村があり、その村が合作社として集合団地化し規模が大きくなり他所からの住人の流入があり今日の規模になつたこと。それでも築三十年くらゐであらう団地は低層で、地上階には食堂や雑貨屋が並び空中が回路で結ばれた構造が何とも親しみ深いものあり。問題はかつて畑だつた周囲が超高層のオフィス街となり、この一角もデベロッパーが虎視眈々と開発狙ふこと。高層マンション化で住民にはそこへの居住権ありの等価交換と言はれれば応じようもの。さすがに昨晩の四川料理で腹の調子が芳しからず百富露なる牛乳を供す店でやきたてのパンで朝食(4元)。ホテルに戻り同行の皆さんとタクシー飛ばして白雲山(標高372m)の麓へ。入場料5元払ひ白雲山国家級風景名勝区の坂道を上るのだが、まぁ自然保護区とは思へぬほどの人出。社交ダンスや合唱隊、バドミントン等々、遊山の輩が遊ぶのは自由だが自然保護区なのにミニゴルフ、バンジージャンプグラススキーと施設も充実。何だかお祭り騒ぎのやうで高所から市街一望のはずが晴天だがスモッグがひどい。大気汚染かしら。まぁ驚かぬ。大都市のなかに、この白雲山の緑地があるだけでも立派。福岡空港的に市街地にあつた旧空港を眺める。強い日差しが肌を炒る。頂上でビールで喉を潤しロープーウェイで麓まで一気に下る。山中の鬱蒼とした森に龍仁寺なる古刹あるを空より眺める。空中のロープーウェイに乗つてゐても山道を上り下りの遊山客の賑やかな声が響く。タクシーでホテルに戻りシャワー浴び帰り支度。正午前にチェックアウトしタクシーで天河。母米粥なる粥ベースの鍋屋に皆さんと昼食。たかが粥と侮るなかれ。午後の香港に戻る列車まで少し時間あり中信広場まで歩き(気温は摂氏35度)地下のCD屋。相変はらずグラムフォンの本物が40元。アルゲリッチとギドン=クレーメルベートーヴェンのヴァイオリンソナタ6〜8番、ダヴィド=オイストラフのヴァイオリン曲集、イリヤ=カーレルの演奏でパガニーニの24の奇想曲 Op.1とヴァイオリン協奏曲1〜2番(ポーランド国立ラジオSO)の三枚購入。午後三時すぎの列車では読書のはずが二日遊んだ疲れ(暑さ甚だし)で熟睡。香港に入り事故か30分ほど列車が遅れたのも嬉しいほど熟睡。帰宅して素麺を食す。

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富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/