富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-06-20

六月二十日(金)朝からぎら/\と照りつける太陽。つひに雨傘で灼る陽光午後遅くGarden Rdの歩道橋の上で立派なデジイチなど使ふ子供らに「オートだの風景モードなどばかりに頼らずに」とプログラムモードでホワイトバランスや露出補正の面白さなど講釈垂れてゐたら通りがかりの初老の翁に「それはIII gかひ?」とアタシが提げたバルナックライカに興味示され「III cなんですがね」と立ち話。用事済ませ涼をとりに、と寄つたFCCのバーで、またこの御仁に再会。少し写真談義するが「レンズはヘクトールかひ?」と尋ねられる。M型ライカに比べられば値段は多少お手頃なバルナックとはいへIII gにヘクトール28mm装着してゐたら「28万円くらゐでげすよ、旦那」と思はず言ひたくなる。安いエルマーの35mmだけど、けつこうよく写りますよ、と思はず今朝届いた、ですでに昼までに簡単に音楽のほかアタシの拙い写真も二千枚余の装填されたi Pod Touch手許にあつたので「ほら、ね」とスナップ写真などお見せして暫し写真談義。すると名刺をくれて「実はフォトグラファーでね」と。おい/\。名刺の名前だけではピンと来なかつたが名刺のURLから氏のサイト訪ねれば「あらゝ、この人相手に」と穴があつたら入りたい、香港では反英暴動の頃からの、開発に入らうとする70年代の白黒写真がつとに有名なBob Daivs氏がこの御仁。アタシの印象に最も残る氏の写真はセントラルのCharter Gardenでクリケットに興じる当然、英国人であらう父と幼い娘、で背後にそびえる中国銀行大廈に「毛主席万歳」のスローガン。一枚の写真で当時の香港の政治的環境をそのものズバリ。ライカ一台あるだけでかうした知遇を得るのだから愉快つたらありやしない(とチヨートク先生的愉快)。それにしても侮れなぬのはi Pod Touchである。電話機能がないだけがi Phoneとの差異で、なるほどだからi Phoneが出ての在庫処分で「Macを買へばi Podが無料」なのかしら。ほとんど設定らしい設定もせずFCCでもさつとWi-Hiに繋がつてしまふ。アタシはこれまで「せめて外出先ではメールは見ない」ことを美徳としてきたのに……まぁ見なければいいのだが。本日、健康診断の結果受領。体重は二年前より5kgほど軽減したが未だほんの少し肥満気味。問題は中性脂肪過多。食生活はかなり理想的。外食でも暴飲過食は全くなし。西洋料理など二人でシャアでやうやく一人前。自宅での食事は野菜が主で少肉、穀物は朝以外殆ど採らず。運動も最近はだいぶ減つたが運動不足ではない。……となると問題は飲酒か。だが夕食前の数杯と食事酒程度で食後から深夜の痛飲など皆無なのだが。二更に夜宵の散歩に出れば昨晩が満月だが月の出は今晩遅く月はまだ山かげ。だがネオンに明るい香港の空も星がだいぶ輝く。
▼香港政府が現在も数年ぶりにH5N1型ウイルスで市場封鎖中の活鶏市場につき営業停止命令など従業者ら死活問題。政府は今後もあり得る疫禍見越してイッソのことHK$10億拠出し家禽業に謂はば廃業保証金で活鶏市場永久閉鎖まで検討。鶏は活きてゐるのを潰すのが当然、ももはや昔の話か。
秋葉原の殺人事件で相変はらず「警察は犯行に至つた経緯や動機などを徹底的に解明」とテレビでキャスターが語る。猟奇的殺人事件など江戸の昔からあり。神田にとつてもきつと初めてのころにあらず。「殺し」の筋の歌舞伎芝居の多くがさういつた事件を題材にしたもの。それを芸術として眺め一方では犯行に至つた経緯や動機など解明と言ふ。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/