富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-06-07

六月七日(土)未明に雨は更に降る量を増し雷鳴轟くなか六時だかに黒色暴雨警報。アタシは先週からの喉痛と咳から回復せず昨晩、近所のC医師の診療所でちよつと強い医薬いただいて服し、朦朧気味。大雨で朝寝貪る。昼前に天気は回復の兆し見せる。のちの報道によれば午前八時から一時間の雨量は145.5mmに達し香港で気象観測始まつた1884年以来最高の雨量を記録。市街地でも夜中からの雨量は300mmに達す。ランラオ島の雨量は400mmを超え空港と市街地繋ぐ高速道路は水没、ふだんでも大雨で床下浸水の被害少なからぬ上環の永樂街など海鮮問屋街も増水は腰までに達し乾鮑や燕窩、貝柱などの高級食材が泥水に浸かり被害甚大の由。更に五年ぶりで街市で販売の鶏よりH5N1ウイルス発見され政府は即刻、家禽類の香港での販売を三週間販売中止決定。災難が一気に押し寄せるなか早晩に湾仔よりフェリーで尖沙咀に渡りZ嬢と待ち合はせ微雨だが「歩きたくない」気分でMarco Polo HK HotelのCucinaなる今様のオープンキッチンの食肆に食す。最近流行りのオープンキッチン、給仕のあのマニュアル通りのフレンドリーな(馴れ馴れしい)態度、まるでマクドでチーズバーガー紹介するやうに高級食材のパスタなど勧め「セットでお飲み物は如何ですか?」でシャンペンを勧める。耳障りな軽音楽、食事するのに寛ぎ系のソファのやう椅子と高さの合はぬ食卓。……やつぱり苦手。蟹肉とアヴォガドのオードブル、グリーンアスパラガス、雲丹とイクラのパスタをZ嬢とシェア。Santa MargheritaのPinot Grigioをグラスで無難に。香港文化中心。エド=デ=ワルト指揮でピアノのEmanuel Axを招いた香港フィルの演奏会を聴く。ラヴェルの「クープランの墓」に始まりEmanuel Axさん登場でショパンのピアノ協奏曲2番ヘ短調ショパン管弦楽曲はどうもピンとこないアタシ。それに応へるかのやうにAxさんはショパンマズルカを2曲アンコールで弾く。優しい、優しいショパン。中入りで後半はブラームスのピアノ四重奏曲第1番ト短調シェーンベルクによる管弦楽とあり、アタシらはてつきりAxさんのピアノでコンチェルトのやうになるのか、と思つてゐたが中入りでピアノが片づけられる。勉強不足で、これはシェーンベルクによるピアノなしのオケだけによるもの。所々、殊に第四楽章のロンドで原曲の弦の三重奏など活かされるが、やつぱりそれが綺麗で、この管弦版は初めて聴いたが全体が饒舌で「これでもか、これでもか」と曲が終はると鳥渡、食傷気味。

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