富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

六月二日(月)ずつと冴えぬ天気続き気分も滅入る。日に一、二度かなりの驟雨あり。馴染の葡萄酒屋にて白をいろいろ眺めてゐたら店員に「ちよつと味見しません?」とPuligny-MontrachetのMeursaultを供されてしまひ「えつ、こんなに頂いていいのかしら?」といふくらゐグラスに並々と注がれ飲んでゐるうちにだんだん気分が良くなり「ぢやぁ、これも貰つていかうかな」となる。帰宅してドライシェリー飲むが先週末よりの風邪で喉の痛み晴れず。周囲でもかなり喉痛の人多し。夕食からは酒も飲まず、代はりに医者にもらつた咳止めシロップが効いて睡魔に襲はれ臥床。
▼FT紙の一面にデカデカと“Ozawa confident of ending LDP rule”と民主党小澤一郎君の威勢良き記事あり。自民党には小池待望論、民主党には政権奪取とFT紙のこの記事の「持つていき方」は完ぺきなGaiatsu。日本の経済改革は、内部から自浄作用なんて期待できないから、それを求める声が外圧となる。
▼余りの馬鹿馬鹿しさに余り書かずにゐたが香港「政府」の問責制(Accountability)で局長だけでも?(疑問府)なのに加へ副局長だの政治担当の高級アシスタントなどの主要官職を新設。副局長候補8名のうち5名が外国籍で政府高官に求められる自国籍(中国籍)に抵触せぬかどうか、二十代の高級アシスタントに10数万ドルの厚俸が妥当かどうか……と問題視される。国籍問題では「個人のプライバシー」として政府の対応の拙く渦中の候補らは一週間だか姿暗まし政府の状況判断待ちで就任前からかなり印象墜し、青二才の高級アシスタントらは「何が出来るか」と嗤はれる始末。今日の信報で昨年だか引退の元政府高官(公務員事務局長)の王永平君が副局長職新設に絡み問責制について見事な言及の署名記事あり。
そもそも問責制(内閣制)は1997年以降の特区政府で新空港開港や鳥インフルエンザ等の対応で粗忽さが目立ち、公務員の無責任の体系(無人負責)改善のために局長職を問責制としたもの。支持率のかなり低き董建華が二期目続投でこの問責制を二期目の柱とし新制度導入に期待もあつたが(当時、この王永平は公務員事務局長でこの制定の中心人物)自動車税増税発表前に財政司(梁錦松)が新車購入で辞職、SARS対応の拙さで衛生局長が、公安立法で葉劉淑儀が……と問責高官の辞任相次ぐ不出来。特区政府の運営を担ふ高官なのであるから責任の大きさを考へれば国籍問題など答へは明白で、それを粗忽にもプライバシーだの基本法に抵触せぬ、と躱さうとした政府と就任者にどう信用が置けようか。1992年の米国総統選挙でクリントン候補が現職の父ブッシュに投げた一石“It's the economy, stupid”を取り上げ、今回の香港のこの問題は「這是政治問題、蠢才!」と言ひたい……
と。御意。

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