富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月廿六日(月)曇。早晩に驟雨あり。
▼NY Times紙の“Chinese Are Left to Ask Why Schools Crumbled”は四川大地震の学校被害について、必読。学校教育が近代国家にとつて国の政策の根幹するならば(明治政府の学校教育整備を見よ)、殊に一党独裁共産主義国家にとつて国民教育の重要性を考へれば、学校建物崩壊は「あつてはならない」こと。而も手抜き工事が地方党政府の小役人と建設業者の癒着によるものとすれば尚更。ところで信報社説によれば、今回の地震の被害は5,000億元に達する見込みで(個人財産の損失含まず)中国のGDPの3%に相当。四川省内に本部をもつ国営企業は3社(下部組織数で50余社)。中央傘下企業の自身での被害だけで300億元。大規模な自然災害による株価暴落を見ると1995年1月17日の阪神地震地震発生当日から23日までの4日(交易日数)で日経平均株価は7.6%下落したが、その後回復(といつても長期的な株価下落は云ふに及ばず)。1999年9月21日の台湾地震では地震発生後株式取引停止で27日の再開で5日(交易日数)で5.2%下落。と考へると大規模な自然災害が株価には短期的負荷で済むことは明白。今回の四川大地震四川省内に「四川路橋」や「重慶路橋」といつた重建系ははじめ63社の一部上場会社があるが半数以上が地震被害が比較的小さい成都にあり、具体的な地震被害被つた「東方電気」など除く9割の上場企業の株取引が再開されてをり、さういつた視点からは市場的には被害は小さいといふ見方も出来る。が今後の課題は少なからず。まづ四川省が中国西部で最も富み今後の開発の潜在力の高い地域であること。中国政府は1950年代から四川省に重建系や核開発の企業を設け90年代にも改めて西部開発構想を発表。その四川が地震帯にあることが明らかなら、この西部開発構想も再検討すべきではないか、と。阪神地震を例にとれば再建の投入資金は地震被害総額の3倍に当り、四川地震の被害が5千億元なら再建費用が15千億元に達するとした場合、国務院の700億元の拠出がいかに小さいか。
▼成田空港での麻薬犬訓練での大麻124g(末端価格約百万円也)の紛失。大麻所持してしまつたのは香港発のCX520便の旅客で、香港にそのまま持ち帰り発覚すれば因みに(情状酌量は当然あらうが)終身刑で罰金は最大HK$500万。香港ならまだマシでシンガポール筆頭に東南アジア各国で麻薬絡みは最高罰は死刑が殆ど。南無阿弥。
▼FT紙に訪欧中のダライラマ14世のインタビュー掲載あり。チベット亡命政府の対中国政府との柔軟路線に対して進捗が見られぬと非難する強硬派も多し、と。続けて中国指導部に対して
Sometimes I really feel sympathy for President Hu Jintao and Prime Minister Wen Jiabao. The country, over 1bn human beings, has a lot of complications. There’re still some wounds from the Cultural Revolution to some people, some generations. And for another generation, the wounds of the Tiananmen event are still there. Then there are a lot of complaints about corruption, such large scale corruptions. So, a very complicated country. All sorts of Chinese traditions are much damaged. It’s a very difficult period, very difficult period. And I think the leadership is following a more cautious path. That I think is very realistic and understandable.
と理解と同情すら見せる、さすがの老獪ぶり。敬服。

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