富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-05-24

五月廿四日(土)昨晩は少し宵つ張りで三更半夜に寝入つたのに今朝も四時半過ぎに目覚めちまふ。土曜は信報に「理性消費」と張建雄氏の世界漫遊と美食の随筆、それにFT紙の週末版のLife & Artsの一折と金曜日に届くThe Economistがあれば週末は楽し。朝から机に凭り今週済ませきれずの雑事幾つか片づけ昼前に少し走らうと外に出れば酷暑猛々しく思はず近隣のジムに逃げ込みトレッドミルで走る。午後お出掛けで一つ用事済ませ帰宅して晩にお好み焼き。何故かお好み焼きにLos Vascosのレゼルヴァ06年。お好み焼きは豚肉の薄切りを焼き大量のキャベツに擂つた山芋に小麦粉をつなぎで少し加へるだけ、で見た目より軽くソースも辛口のを少しつけて食べる程度でお好み焼き食す間に使ふソースは大さじ一杯ほど。カロリーも胃の負担も心配なし、の老人向け。陋宅の階上の住人の子が飛び跳ね走り回り興奮して叫び「賑やか」通り越し近所迷惑甚だし。苦情告げに参ると親が幼子に「ほら、謝りなさい」と。幼子が騒ぐのは当然で、それをマンションでどう自粛するか或いは厚手のカーペット敷くとか考慮すべき、謝るのは幼子にあらず親=あなた本人だらう、と諭す。即効で安静。騒ぐと迷惑、と相手が理解したか、と察すのは甘い。けふ日、アタシのやうな「危険な隣人」の意に背けば幼児が危害被るとでも思ひ狂気人を怒らせまいとする自らの安全対策に他ならず……それで静かなら好いのだが。ところで今晩、NHK特集「中国・四川大地震」看てゐたら番組の最後の方で「今回の地震では中国各地から自主的に集つたボランティアの人たちの活動も目立つてゐます」と取り上げ(事実であるが)、一例として官方の救援活動も未だ施されぬ震源地に近き山奥の村に分け入るボランティアを映す。行き止まりの山道で山中より罹災の村人が何人か下り現れるが怯えた表情。それに声をかけるボランティア……のはずが、カメラマイクの拾つた山人への語りかけが「我們,日本廣播電台!」(日本のNHKです)と聞こえたのはアタシだけかしら。「役所の救援が地震から全然来なくて、私らずつと何も食べてないんだよ」と老婆の叫びは耳に残る。がボランティアが主導でNHKは取材で同行、のはずだが、この「我們,日本廣播電台!」一言でどうもそれが怪しい。
▼FT紙の週末版より“Japan's goodwill diplo-cat in China”の紹介。題名だけでも興味深いが日本の中国・香港向けの名誉観光大使ハローキティ猫が選ばれたこと取り上げ「話をせぬキティちやんなら過去の歴史に心から追悼の意を表す必要も逆に靖国参拝する意地もなく、大使には最適」としてサミットに集る各国もそれぞれの国のキャラを遣つてはどうか、と英仏独……と例に挙げ最後に
Perhaps Washington could simply dispatch a lame duck.
と米国ならさながらディズニーでドナルルドダックだらうが、実は華盛頓lame dackが一羽、とブッシュへの皮肉。
▼同じくFT紙週末版よりLunch with the FT: Henry Kissingerでキッシンジャー博士が中国について。
Let me tell you how I see China. China is a country with a record of continuous self-government going back 4,000 years, the only society that has achieved this. One must start with the assumption that they must have learnt something about the requirements for survival, and it is not always to be assumed that we know it better than they do.
政権が王朝だらうが封建制であらうが春秋戦国の時代があり現在の一党独裁も含め、いづれにせよ中国が四千年にわたり自治国家たることへの畏敬をキ博士に云はれると含蓄があるが「元」や「清」の異民族支配はどう看るのかしら。
シドニーのRoslyn Oxley9 Galleryで開催予定の豪州の映像作家Bill Hensonの個展、少年少女の裸体モチーフにした画像を当局が押収。ラッド首相は“no artistic merit”と指摘。BH氏の作品の猥褻性如何より、その作品に犯罪性を看る周囲の「まなざし」の方がアタシは怖い。

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