富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月十五日(木)晴。台所に置かれた野菜が有機だからか、最近、高層マンションなのに居間にヤモリがゐたりする。家守だからそのまゝに、と思へば今日は台所の窓際に前からあるミントの鉢植えに蝶の幼虫が。ミントにもと/\住まふはずもなく、どの野菜から引つ越してきたのかしら。香草のミントをそんな大食ひして平気なのね。ここ数日過ごしやすい日が続き窓を開けて天井扇の風にヤモリと芋虫で、マンション住まひの生活が少し野性的。
▼知人が或る疾病で日本人にも人気の某私立総合病院で診察受けると或る病名を宣告され香港での治療にはかなり費用がかゝり本人も驚き念のため別の総合病院で再検査すると疾病は単なる身体機能低下。前者は少なからず良からぬ噂も耳にするが、また下手なこと書くと誹謗中傷による損害賠償で1億円くらゐ請求されると怖いので(笑)。
▼書評読み読んだつもりの本書かな。でジョン・C・ボーグル著『米国はどこで道を誤ったか 資本主義の魂を取り戻すための戦い』(東洋経済新聞社)で評者は久保文明(東大名誉教授)。著者は米国の有力投資会社バンガード=グループの創業者。最高経営責任者が平均で一般従業員報酬の280倍もの平均報酬を手にする米国の大手企業。その米国資本主義に対する痛烈な批評。企業が経営者の利益のために経営され株主(社主)が犠牲に。その責任は投資家を保護しなければならぬ公認会計士や取締役にある、とする。また投資のあり方の問題。株が今や、直接、株主(依頼人)にではなく仲介者(代理人)に保有され、機関投資家の株式所有が株式全体の66%になる現実。受託者を代表する義務を負ふはずの投資期間が受益者の正当な権利を無視し長期的投資を疎かにして短期的投資に走り利益相反行為にも手を出す。投資ファンドのマネージャーは投資家の利益より自らの利益を優先し管理者でなく商売人の様相。そこで、資本主義の伝統的価値観である誠実や信頼といつた倫理観を取り戻す重要性。御意。
▼先週だか香港政府(といふ名の地方役場)の教育局主席教育主任の容某曰く
八月北京奧運、可讓學生理解國家擧辯奧運會的意義與國家發展狀況、培養他們正面的價値觀和態度、以及増強他們的國民身份認同和民族自豪感、爲國家和世界作出貢獻。
中国政府はオリンピックの政治問題化への懸念など表明するが、この地方の小役人のコメント聞くだけで五輪がいかに政治的な行為か、は明白なところ。

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