富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-03-30

三月卅日(日)早朝に大埔の吐露湾で10kmのロードレースあり申し込んではゐたが参加せず。昼にジムで一時間の有酸素運動。夕方、日参の銅鑼湾。世界貿易中心で李惠珍による少女漫画『13点』の小さな展示あり参観。李惠珍の『13点』は香港で1966年に発表され始めた少女漫画黎明期の古典的傑作。日本でも萩尾望都竹宮惠子大島弓子山岸凉子ら所謂「24年組」が出てくるのは70年代を待つわけで、まだちばてつやが少女漫画書いてゐた時代でせう。その時に香港で、この『13点』が描かれてゐたことはかなり斬新(なにせ、その後、少女漫画は奮はず日本の作品の翻訳物が今もつて主流なのだから)。日用品買物して翠華餐庁で早めの夕食。中環の市大会堂。映画『人のセックスを笑うな』看る。地味な映画のはずなのに爆満で何事かと思へばZ嬢の話では松山ケンイチなる主演の青年が映画『デスノート』香港で大好評。その余波の由。ところどころ笑へるシーンは誰も傷つけないセンスの良さ。物語はアタシにはよくわからない地方の美大の学生主人公にした感性?の世界。山崎ナオコーラの原作は、こりや平成の「限りなく透明に近いブルー」かも。おやつと思はせる配役だが正月の場面で新春演藝中継で上野鈴本から、でニューマリオネットの伊原寛・千寿子師匠夫妻が出てゐたのには驚き……まだ現役とは。アタシが中学生の頃に上野鈴本といへば色物は常連でこのお二人。懐かしい。Z嬢は帰宅しアタシ一人で映画『それでもボクはやってない』看る。周防監督の映画に出た役者の演技はアタシ好み。刑事裁判の冤罪は怖いが、何よりも被告人(容疑者)を除き裁判官も警察も検察も無実の人を有罪に陥れたところで(人道的な良心の問題は除き)何ら責任も問はれないのだから不条理な世界。日本語で看てゐても司法関係の専門用語など多くアタシのやうな門外漢は難しいのに、法廷での攻防など英語の難しい字幕を読みながら二時間半近く……食ひ入るやうに見続ける爆満の香港の観衆も大したもの。
蘋果日報の随筆で左丁山氏、復活祭連休で日本旅行。九州の温泉で同行の知日家Kと風呂に浸かり「いい湯だ」と話じめると、湯船にゐた日本人客数名がすつと出て行き外の露天風呂へ。今度、露天風呂に行くと日本人は蒸し風呂へ。まだまだ日本人は外国人との接触を忌むか、と左氏驚くが同行のK氏曰く、風呂が広々と爽快でいいぢやないか、と。御意。

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