富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-03-27

三月廿七日(木)吉田健一英國に就て』少し読む。昭和49年の筑摩書房の箱入り装丁。頁を開き、ふと「しつかりした活字」に目を奪はれ、奥付見れば、やはり印刷は精興社。同書はちくま文庫の『英国に就て』で何年か前に読んでゐるが、それが新字新仮名なのに対して、こちらは舊字舊仮名の原著だから言葉の重さが違ふ。昭和49年刊行でも、まだ当時は舊字舊仮名があつたか。健一さん曰く、英国人の現実的な生活での生きる喜び、は(楽観ではなく)人生への絶望、厭世観によるもので、人間はいつかは死ぬが死ぬ迄は生きなければならず、生を堪へなければならぬ、で不愉快な人生であるからせめて生きてゐる間は楽しく快適にしませう、と。それが結果的に文化を生む。教養もその程度のものだらう。妙に納得。
▼「香港の民主の父」と賞される民主党元主席の李柱銘(Martin Lee)氏が来る九月の立法議会選挙に不出馬表明。議員引退の由。香港司法の穎才で1983年に李鵬飛に請はれ香港の「年青才俊団」の一員として上京、鄧小平に面談。85年に香港基本法起草委員会委員命じられ97年返還後の香港法治の期待の星であつたが89年の天安門事件で支援運動に加担、香港自治民主化促さうと民主党結成し廿数年に渡り立法会議員。この人の政治的生涯はまさに「良心の呵責に耐へかねた憂い」。70歳になるのを期に民主党の後進に席を譲る、大義名分もあるが、世論の反北京感で反対党としての民主党に支持集つたのも過去の話、かつての日本社会党のやうに「それぢや、どうする?」の不明。九月の立法会選挙では注目の港島区は民主党はすでに楊森議員が不出馬宣言してをり、マーチン氏もこれぢや、後任候補立てたところで俄然、公民党やアンソン=チャン(陳方安生)など中道リベラルが強気で民主党議席0の可能性もあり。

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英国に就て (ちくま文庫)

英国に就て (ちくま文庫)