富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-01-02

正月初二。気温摂氏十度。寒さ極まる。所用あり朝十時の船で坪洲。訪れる機会も稀な、南北、東西とも1粁余で広さも0.98平方粁の小島にて海抜95mの手指山の頂に登る。風光明媚。山に登る途中、Z嬢が中環の有機野菜市で時々野菜購ふGreen Peng Chau Association(坪洲縠衡者)の農地通る。島南の絶好の畑作地なり。山を下り市街に入ると、この島に住まふ旧知のP氏に邂逅。ネットがあり欲しい物は急がねば通販で何でも揃ふ時代、島暮らしこそ快適か。海景海鮮酒家なる食肆で昼餉。真直ぐ中環に戻るも芸がない、と午後の船でランタオ島のディスカヴァリーベイ(大嶼山愉景灣)に渡る。近隣の鼠楽園かシンガポール、カリフォルニアはサンタモニカかフロリダのリゾート都市の如し。アタシの趣味ぢやない。船を捨てバスで東涌。バスを乗り換へ香港島に戻る。早晩帰宅して氷なしのドライマティーニ荷風散人の『爲永春水』を昭和28年の角川書店和文学全集第五巻で読む。正月のお節で今晩は菊正宗。
▼本日、皇居にて一般参賀。平成廿年新年に当たり陛下のお言葉。
昨年は石川県と新潟県地震があり、厳しい冬を過ごす被災者の苦労が察せられます。大雨などの自然災害は少ない年でしたが、国民生活に不安をもたらすやうな社会的状況が幾つか明らかになつたことは残念なことでした。新しい年が国民一人一人にとつて幸せなものであり,世界の人々が互ひに信頼し合つて暮していける社会が築かれていくことを願つてゐます。
と。「国民生活に不安を齎すやうな社会的状況」は婉曲で、まづ思ひ当たるのは食品の賞味期限や原材料の「偽」。だが具体的にその被害者が出てをらぬ点で嘗ての森永砒素ミルク事件などとは全く異なるのは明白。さう思へば陛下の仰つた「国民生活に不安を齎すやうな社会的状況」が食品の賞味期限や原材料の「偽」など「些細なことではない」のは明らか。社会的状況とはまさに政治ぢやないかしら。明らかに政治的力量ない若輩を首相に祭上げ(嘗て肥後の殿様の時もさうだつたが)、それがダメならナヴェツネ=弓削道鏡か?の音頭取りで大連合など謳はれ元老気取りの元首相や野党党首のニコチャン大王が踊らされる。このタイ王国を嗤へぬ政治的貧困ぶりこそ社会的状況の不安。陛下の憂慮が幾許かでも伝はることを唯々祈るばかり。小泉三世の詭弁上奏あたりから皇室すら蔑ろの政治家たち。
▼本日、或る「事故」があり、一瞬「天地が引つ繰返る」思ひしたが、Z嬢にその話をすると、だから広東語で事故を意味する「意外」といふ表現が見事、と。確かに。中国語でも「事故」といふ言ひ方はあり「惨禍」や「意外」も使ふが広東語ではまづ「意外」。「事故」は文字通り「コトノユヱ」(大言海)できちんと故ある出来事だが、突然ではそんな悠長なこと言つておれず、まさに意外。

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