富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-11-24

十一月廿四日(土)胃腸風邪。机まわりの雑用済ませ近隣のC医師の診断請ふ。週末でゆつくり休養すべし、と多少眠くなる薬を供される。昼前に饂飩食し昼寝。午後どうしても休めぬ約束あり味の素の秘薬アミノギア服す。灣仔で長蛇の列あり、一瞬、季節外れだが「施し米」か、と思つたが施し米なら老人ばかりのはずなのに若者もゐれば鬼佬(gwai lo)も少なからず、何事か、狂信的聖書原理主義者の集会か、と思つたら、列の先頭は豪州総領事館の入るビルに達してをり、この行列が豪州下院選挙の投票、と合点。豪州は国政選挙は選挙人登録と投票義務づけられてをり海外にあつても滞在が二年を超し六年以内に豪州に帰国の意志ある者は在外でも投票が義務。香港の場合、豪州の居住権維持のためには投票は必須。香港は英国倫敦に続き豪州籍の者多し。総領事館入り口での選挙運動見ても圧倒的に野党労働党が優勢。帰宅しておでん。服薬し早々に臥床。
▼先週日曜日の香港区議会選挙。学者の分析に拠ると中国からの新移民多き九龍・新界の青葵、深水埗、観塘、元朗などで泛民主派が議席失ひ親中派御用政党民建聯が議席奪回。新移民は保守的、か。で次週日曜の立法会港島区補選は泛民主派は政府の選挙宣伝が低調、と非難。投票率が五割を下回ると組織票の強さで保守派の葉劉淑儀が有利となる由。明晩二回目の候補者討論会開催されるが二時間の実況中継はケーブルテレビ系ばかりで「普通のテレビ」では翡翠台が前半一時間だけ中継(後半が自由討論)。選挙ムード高まると反政府票伸び陳方安生が有利になるのを政府が懸念といふ非難だが、立法会の地方区補選、といへばこの程度の選挙宣伝のやうな気もするが。ところで葉劉淑儀を支援の左派陣営、北京政府の香港出向機関・中聯辧は民建聯系の民権組織通じ、大陸生まれ子女の香港居留権を求める市民に対して「葉劉淑儀支援すれば、これまでの政府に対する抗議歴など抹消し子女の居留権取得を有利にするから」と、居留権求める父母らの集会で葉劉淑儀支持を主張するやう働きかけ(蘋果日報)。葉劉淑儀といへば大陸生まれ子女に香港居留権ないと全人代常委が法解釈した際の責任者。その父母らにとつて憎き仇だが左派陣営は「葉劉淑儀は当時、実務担当官に過ぎず、実際の決定権者は陳方安生だつた」と悪評流布もあり、とか。この反政府系候補に対する強権的な、謂わばシンガポール化は民主党元老の司徒華先生にも及ぶ。司徒氏のもとに司法当局より一通の書状。開けてびつくり、半年前に民主戦線のラジオ放送に出演し中国民主化について語つた時の放送が、このラジオ放送が当局の批准受けてない非合法のものであるため、出演した者も控訴される、といふもの。同じ番組に出演の他の者は起訴対象になつてをらず明らかに「当て擦り」。まさにあらゆる「合法的な」手段使つて反政府派を疲労困憊にさせる、シンガポール現象が、これ。

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