富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-11-09

十一月九日(金)快晴。本日より香港では Trailwalker2007 開催。アタシの出場は2004年が三度でそれが最後。翌年から二年続けて予備抽選から漏れ今年は抽選応募すら忘れる始末。それでも毎年九月から十月にかけ週末に西貢北譚涌より終点勝手に変更し深井まで一応この100kmの山あり谷ありのコースを踏襲済ましてゐるのは日剰に記述の通り。本日の午前九時より精鋭チームよりスタート。知己の方も何人か参加あり健闘祈るアタシは胃腸風邪かしら、体調芳しからず養和病院に。かつてA氏に蒲柳之質と笑はれたが近くにゐた数名の中国人も「蒲柳」の意味を知らず。ところで病院に向ふタクシーで、かねがね気になつてゐた「二つ目の小さいバックミラー」について写真撮影試みる。やつぱり予想通り。タクシーに乗るとふつうのバックミラーの他に小さいミラーも装着のタクシー少なからず、あり。てつきり客との行き先確認などの遣り取りの為か、と思つてゐたが一度とてこのミラーで運転手と視線合つた例しなし。やけにこのミラーの角度が折れてゐるのが特徴といへば特徴。ししばらく前にアタシは「はつ」と合点。でちやうど今日、天気も良く絶好の撮影日和。ちやうどこちらの股間の位置にカメラを置き、このバックミラーの方を向けて撮影してみる。……と予想通り。小さなミラーに運転手の両眼が(笑)。結局これつて乗客のスカートのパンチラ覗き用つてことかね。このミラーが市販なのだらう、も可笑しいが。早晩に中央図書館。Z嬢との待ち合はせまでジムに行く元気もなく星巴珈琲も金曜日の昏時など賑やか過ぎて落ち着けず。嫌ひな設計の中央図書館だが静かであることだけは受容可。でも全館のソファが紫色なのは許せない。新聞をゆつくり読み花袋『東京の三十年』少し読む。気軽な随筆なのだが露伴、花袋が師とした紅葉、歌読みの会に現れたまだ十四、五の天才少年柳田国男君のこと、英訳で読んだゾラ等々話が面白いからぢつくりと読んでしまひなかなか進まず。銅鑼湾。Z嬢と耀華街の新翠華茶餐廳。茶餐廳と名乗るし翠華と聞くと茶餐廳の中でも大手の系列か、と思ふが新翠華は?仔飯で著名。銅鑼湾のこの場所で炭火で焚く、と云ふ。だが?仔飯だけか、と云ふと狭い店で大繁盛なのにちやんと普通の茶餐廳と同じく軽食から一般的なぶつかけ飯、茶に珈琲までづらりとメニューもあり狭い厨房で鯔背な兄さんが二人でまぁ威勢よく調理し続ける態を見てゐるだけでも?仔飯が出されるまで時間潰しになる(でも調理場も禁煙のはずなんだが……)。で滑鶏?仔飯と紅焼豆腐を二人でシェア。美味。食後、何年ぶりかしら、で新華社前の伊利沙伯体育館(Queen Elizabeth Stadium)。ここは本来、キックボクシングやムエタイの興行にピツタリな、いはば「香港の後楽園ホール」だから此処でコンサートといふとアタシの最近の記憶では日本から、だとX.Y.Z.→A.くらい。でそこに香港フィルハーモニー、なのは「のだめカンタービレ」演奏会。曲はベートーベンの7番(第1楽章)、同ヴァイオリンソナタ「春」(第1楽章)、ラフマニノフの2番(第1楽章)でブラームスの1番(第4楽章)。休憩。後半はバーバーのアダージオ、ガーシュインの藍色狂想曲でベートーベンの7番(第4楽章)。勿論、原作とドラマで印象的な曲のオンパレード。とにかく後楽園ホールだから、まるで音も響かぬし、昔のモノーラル録音か、町の公会堂で地元楽団が演奏する如し。まぁ企画モノで通常は数年先まで演奏日程決まる中、急きよ会場押へた結果がエリザベス体育館の由。だが今日と明日の二晩「爆満」で明日夕方に追加公演あり。「春」のヴァイオリンソロは遼寧省出身の王亮(22歳)。ラフマニノフガーシュインのピアノは上海出身の宋思衡が色物つぽく「思ひつきり」な演奏。「笑はない香港フィル」がSオケのやうに何処までやつてくれるか、江戸出悪人氏がドラマでの竹中直人扮するミルヒー先生の如くかつらでも被つて登場してくれるのも期待したが能はず。曲の合間の団員による即興MCだけ。舞台上から観衆に尋ねると、当然「のだめ」のファンが多く香港フィルどころかクラシックのコンサートなんて今回が初めて、の若者少なからず。云わば「のだめ」に肖り「青少年のための音楽教室」で、これはこれで成功なのだ。今晩の香港フィルはバーバーのアダージオ、好演。だが、この曲からガーシュインは唐突なのだが……。帰宅して田原牧『ほつとけよ』やうやく読了。

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