富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-10-19

農暦九月初九。重陽。久々に朝寝貪る、と言つても八時。快晴。山に登らうか。重陽ゆゑ山で菊慈童にでも遇ふかもしれず。が朝からテレヴィジョンでは各地の墳墓に墓参りに向ふ人の流れなど映し出す。高い処に上ると良い日でヴィクトリアピーク行きのバスも増発の由。人出思ふととても山には行けぬ。ゆつくり読書でも、と永江朗の『批評の事情』(原書房、2001年)読み始める。数年前に久が原のT君にいただいた本。だが天気もいいのでZ嬢とふとエアポートバスで空港。乗り物で車中の読書と居眠りほど心地よきものなし。空港では半年も前から第2ターミナル稼働。でご見学。大手はまだタイ航空とエミレーツ空港のみ。それとバジェットエアが幾つか。この空港らしい解放感あふれる広さ。閑散とするが小売店だけはたくさん開業。階下にこのターミナル用の出境手続きエリアあり遠い搭乗ゲートまで地下の Automated People Mover (APM) にて向ふ由。Burger KingのWhoperをZ嬢と半分づつ頬張る。Burger Kingが香港には空港と、それに最近、ヴィクトリアピークにのみあることを今日初めて知る。それで空港の禁区エリアのバーガーキングがあんなに人気なのだ、と了解。この第2ターミナル地下のバス乗り場も飛行機の搭乗ゲートの如し。各ホテルのリムジンバスと広東省など中国各地への長距離バスの出発が此処から。いやはや立派な施設。午後になり一時間に一本のA35のエアポートバスで空港と同じランタオ島の梅窩に向ふ。消防署のヘリコプター上空を舞ふ。掃墓での焼香。その焚火で山火事。山あひの林を勢ひよく一條の燃火が走るを眺める。空港から梅窩まで峠越えバスで小一時間かかるがSun Set Peakの丘陵をランタオ島横断道路の建設中。峠越えの曲がりくねつた道で自動車が崖下に落ちる事故もあるが山肌削つて縦断道路まで必要かしら。運転休止中のケーブルカーの如く天罰下らねば良いが。開通後、何か大きな自動車事故起きるやうな気がしないでもなし。梅窩。のんびりと鄙びた集落散策。夕方、徳仔記(生利)海鮮酒家に地鶏の鹽?鶏など食す。美味。この店、海を見渡す、といへば聞こえも良いが交通量少ないとはいへバスやトラックの走る梅窩なりの幹線道路のすぐ傍らで大型車の排ガスには閉口。これなら海に面した熱食中心のはうが快適。ただこの食肆の地鶏料理は捨て難し。フェリーで中環に戻る。バスやフェリーで寝惚けつつ『批評の事情』読了。重陽
草の戸や日暮れてくれし菊の酒  芭蕉
といきたいところだがバーボン酒Jim Beam舐めながら新潮社『考える人』07年夏号「続・クラシック音楽と本さえあれば」続き読む。その中の記事で知つたが、吉田秀和『主題と変奏』中公文庫は絶版。吉田秀和全集白水社)に収録あり。この全集も全24巻完結。入手したいがちよつと今は手が出せぬ。『モーツァルトの手紙』も思ひ出あり。書店でこの本を手にしたのがモーツァルトが旅で手紙を書き始めたのと同じ13歳。「読めないわけがない」と思つたが13歳で読んでも、けして面白くなかつた。原武史『滝山モミューン1974』続き読む。

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