富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-10-17

十月十七日(水)来春の香港藝術節2008の公演細目が昨日郵送で届き早速本日ネットでのチケット先行予約開始。慌ただしすぎ。昨晩遅くネットで確認したが当然、予約画面には至らず。で今朝、老ひての早起き三文の徳、で早朝六時過ぎに何気にこの藝術節のサイト見れば前売り既に開始。確かにすでに17日ではある。てっきり午前9時か10時から、と悠長に構えていたが。で慌てて朝の六時過ぎにネット予約魔と化したり。ネット先行予約については、長野のいなご氏より先日、松本で再会の折「サイトウキネンをいかにして押えるか」のノウハウ拝聴。午前10時からの予約開始なら数分前までに進入できるギリギリのところまで進入しデータも入力可能なものは全て入力すませクレジットカード番号など必要データ全て取り揃え、時間と同時に1クリックで予約完了、とすべき、と。そのタイミング逃しServer Busyとなればもはやサイトウキネンは断念、の世界の由。早晩にハッピーヴァレイ。Z嬢と今季初の競馬観戦。キャセイパシフィック航空のボックス席に数名招く(と言っても料金は皆さん自腹)。2R(Class-4芝1000m)に出走の馬主W氏のSunny Golf含め1Rから4Rまで擦りもせず。3R(Class-4芝1800m)でPrime Target(鎖定目標)といふ馬が向正面で八番手からスパートかけて「アミーゴの上り坂」先頭にたち3馬身くらゐ離してみせたり。かなり驚かされる。来春のダービーに出てくるかしら。5R(Class-3芝1000m)は香港カントリークラブの100周年杯。昨年12月に沙田のClass-4の芝1000m、3馬身半のぶっちぎりで初戦飾ったSouth China Elite(南華精英)が10ヶ月ぶりに、調教の時計も良く万全での第二戦。当然、一番人気。Prebble騎手。だが良駒もこれだけレースから遠ざかり而もハッピーヴァレイの1000mはそう易しいはずはない。でWhyte騎乗のGood To Go(去馬)が1枠。これだ、とアタシはこれが今日の勝負レースと勇み掛金を倍どころか0ひとつ増やす暴挙。結果、二番人気ながら5.9倍ついて収益かなりあり。勝ちの独り占めはよくない、と同席の皆さんにご祝儀で今晩のお食事代を少し還元。第5レース以降アタシも皆さんもそこそこ当り出すから面白い。でレース終了後バーSで数名で祝勝会、深更に至る。
▼英国BBC放送のネットニュース(10月3日)に発表されたTom WhiteのMyanmar政変に関する日にちの数字合わせの妙、ビルマの人々の数字に対する固執、が引用、紹介され世界的に注目されている由(Burma ruled by numbers)。ネ=ヰン将軍が「9」をラッキーナンバーとして1987年に45Kyatと90Kyatの紙幣発行!や民主派にとっては「8」が大切で1988年8月8日に運動蜂起、それが9月18日(1+8=9)に軍の鎮圧を受け、今回の騒動でも蜂起は2007年9月18日(2+7=9)、政府系テレビ局が政府支持の民衆デモに98,100万人が参加(端数に見えるがこれも1+8=9)と報ずる、等々。強引な数字合わせ、といえばそれまでだが、かつて英国政府のビルマ駐在文化部員であったTom White氏の分析は興味深い。
▼畏友Willam?智達君が蘋果日報の連載随筆で「草間彌生萬點迷南瓜」。劉健威兄も数日前の信報での連載に「草間彌生展」と寄されたり。草間展の開幕は先週火曜日だがずいぶん昔のことの如く感じる。
▼周凡天氏が昨日の信報(文化欄)に「郎拉松現象全球化効應」という文章有り。先月末に北京国際音楽節の開幕より数日北京に遊んだ周先生。郎朗に始まり郎朗に終わる郎朗づくしの今回の北京のフェスティバルを郎拉松(Lanrathon)と喩えられる。バレンボイム率いる伯林国立歌劇場管弦楽団とて「郎朗バレンボイムとStaatskapelle」と書かれるほどの、さながら世界の楽壇のスーパースター。開幕日はベートーヴェンの皇帝。第二晩、Staatskapelleとのブラームスのピアノ協奏曲第1番で第2楽章のアダージョは(夫失ひたるクララ=シューマンの悲しみへの慰め、の有名な旋律だが)郎朗の演奏は周先生「内省的深刻感情、表達得很細膩」と絶讃。でこの二晩の演奏の最後にバレンボイム郎朗とピアノ合奏。ブラームスのワルツ集作品39から最もポピュラーな変イ長調。ところでZ嬢の話によれば郎朗、かつてバレンボイムのワークショップに参加し、かなり扱かれ、だが郎朗も若気の至りで反発、ワークショップ最終日の演奏も全くバレンボイム師匠の指摘に従わずに奏で、師のかなりの反感買った由。今回は和睦か、はたまた……。この記事の写真で見るかぎりお互い「まだまだ譲らず」の表情。周凡天によればさすがバレンボイム、高音での、その濃厚なる藝術品味が、いささか表面的な美感に終わった郎朗に勝った、と。で三番目が余隆の指揮で中国愛樂樂團(中国フィル)との「黄河」とラフマニノフのピアノ協奏曲二番。「黄河」は、そう、七月に香港で郎朗が中国フィルと演奏のはずが急遽、郎朗取り消しとなり殷承宗が代演(七月廿四日の日剰に記述あり)。いみじくもわたし達は「世界の郎朗」のはずが文革当時に名を駆せたる殷承宗という「紅色經典(communism classic)」を今、聴く機会に恵まれたり。で今回の郎朗の「黄河」。殷承宗の革命闘争的な高揚感、風格とは対照的な郎朗の「黄河」は「祖国の陽に輝く偉大なる山河、多於是在戦火中為存亡抗争的民族が、まさに今、この(郎朗の若い)世代に於て国家民族として自豪感(自信、誇り)溢れるものになった」と周先生(この批評、読んで瞭然、褒めているようでニヒリズム感が微妙で面白い)。いずれにせよ、注目せざるを得ぬのは郎朗のまさに「市場価値」。今回の中国愛樂との「黄河」は北京でS席880元なり(ちなみに香港で7月はHK$600)。郎朗のこの市場価格は欧州でも同様の由。ところで周凡天氏の名曲鑑賞講座「解剖世界名曲進入音楽世界」、七月に基礎編あり大好評。アタシも聴講。その続編が今月。毎週水曜日の計5回でアタシは九月初旬に「十月の毎水曜日はすべてOK」と通し券購入。それが急きょ薮用で埋まってしまひ通し券はM嬢に譲りたり。
▼そういや昨晩のNW9で「お寺で癒し」と築地の本願寺にまったりとしたカフェ開設。その名も「Cafe de Shinran」と聞き「いい加減にしろっ!」と一瞬思ふ。これ、トド・プレス(雑誌ソトコト出版元)が展開する所謂「ロハス系」。月本さんに遠慮して「いい加減にしろっ!」の感想を撤回するわけぢゃないが本来、お寺の境内などさういふ憩ひの場であったはず。アタシらも子どもの頃は境内は恰好の野球場。その境内の端の薮中に若い男女が昼間っから逢引きか入ってゆく光景などなど。寺の崖下で自殺者もあり。さまざまな意味で寺の効用、と思へばカフェもあり、か。それにしても「カフェ・ド・シンラン」の命名は個人的にはちょっと慣れないが。
▼香港政府所得税減税は歓迎だが収入増の一環で今度は港島の西環と九龍の長沙湾のそれぞれの港岸にある食品市場に目をつけ、それぞれ市場の敷地沿岸に西環が170m、長沙湾が192mの横断幕タイプの巨大広告スペース設け広告収入得やうと算段。港湾の美感損ねると反発もあり。とにかく場所さえあれば賃貸、広告スペースの発送が安易。MTRも地下鉄站構内に猫の額ほどの空間あれば小売店に賃貸。コンコースの空間性損なわれ醜悪。愚考としか言いやうなし。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/