富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-10-12

十月十二日(金)退勤ラッシュの地下鉄に紛れ東涌線でオリムピツク(奥運)站。Olympian Cityなる商場にてMedecins Sans Fronrieres(国境なき医師團)香港支部主催の“Trapped for 15 years - a photo exhibition on Rohingya refugees in Bangladesh”写真展参観(本日最終日)。ミャンマーでの迫害をバングラディシュに逃れしロヒンギャ族イスラム教徒。バングラデシュの山中に難民として仮寓。写真展はキャノンの提供(同社印刷機によるプリント)。でロヒンギャ族の一連の写真は全てPaul Wong(黄貫中)によるもの。そのドキュメンタリーの写真が秀逸。Paul Wongは、さう、ロックバンドBeyondの人。写真撮影の技量とセンスは玄人跣し。実はアタシはSCMP紙だかのこの写真展紹介で、撮影者がレンジファインダーのカメラで撮影、それがライカMらしく、それに興趣もち記事を読みPaul Wongが国境なき医師団への共鳴から写真家として現場の現状紹介、と知った次第。中環。HMWにてCD購ふ。ツィメルマンが維納フィルとベートーヴェンのピアノ協奏曲。1、2番は自らが指揮。3、4番は指揮はバーンスタイン先生。もう一枚は李雲迪が小澤征爾&維納フィルでプロコフィエフのピアノ協奏曲2番とラヴェルのピアノ協奏曲ト長調。いずれもグラムフォン。久々にFCCに参り来港中の和仁廉夫さんと飲食。氏の祖父の遺品にあった戦時中の中国での写真アルバム(複写)見せていただく。貴重な一次資料。台湾、香港、更にマカオ民主化につき、氏に対しアタシの視点は「香港は予算規模では大阪府以下、マカオに至れば尼崎市レベルの地方自治規模なること、マカオの民主派は尼崎の共産党市議の議席数の規模と同じであることは期待値は別として現実としては当然」といったもの(ちなみに後で調べると尼崎市議会(議員定数43)は共産党市議団は8名……公明党が10名で最大、でアタシの認識は間違い)。台湾でも施明徳の民主派のリーダー的な動きを評価する和仁さん、高雄市長選で落選の結果が示すやうに抗議運動などで象徴的パフォーマンスはできるが実際の行政手腕などには疑問ありとアタクシ(だが施明徳の姿勢を青島幸男大橋巨泉と並べたのは言い過ぎ)。話題尽きず三更に至る。ハンガリー風の牛肉煮込み料理(Goulash)を食す。葡萄酒は豪州のClare ValleyはKilikanoon Killerman's Run(なんて名前なのよ)のCab Sau 05年。
▼香港芸能界のベテラン「肥姐」沈殿霞(60)卒倒で緊急入院。肝腫瘤、胆管癌、糖尿病など併発し「肥姐」衰弱甚だし。昨日も九龍城の南貨の老舗・新三陽にて大閘蟹(上海蟹支那海蘊蟹)や鹹肉購ひ、その途中も甘味を買い食ひ。このテのコレステロール分多い食品が肝臓患ふ者に禁忌は万人の知るところ。伊丹十三の『お葬式』にて老人が鰻とアボガド美味さうに食し卒倒する冒頭の場面彷彿。これでいいのだ、としか言いやうなし。
▼昨日の朝日(文化欄)に東京・初台にてメディアアート展開催中の坂本龍一の記事あり。環境保護に尽力しNPO設立など。「ニューヨークにゐると、日本はやはり憲法が歯止めになつてゐると見える。9・11以後も改正されなかつたのはラッキーだ」と教授。日本のヘンな社会も、ぎりぎりのところまでいくが憲法改正には一気に踏み込めずに、それが今日に始まつたことに非ず、憲法改正と幢を掲げ選挙運動で初当選の青年将校中曽根君や自主憲法制定党是にした自民党結党の頃から、直近の安倍三世に至るまで。憲法改正に至らぬが、なにが抑止力なのか。国民にそんな強い意志も感じられず。面倒くさいだけ? 護憲派の陛下の存在かしら。実は皇室には戦後、現行憲法について、天皇制廃止に至らず宮中祭祀も容認されたまま「国民の象徴」として、この普遍があるかぎり半永久的に存続保障された、そのことに対する最大の憲法信奉の観念が存在するとか。ところで今晩、宮中に福田二世夫妻参内。天皇皇后両陛下と晩餐三時間に及ぶ(翌日の首相動静に拠る)。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/