富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十月二日(火)明け方に驟雨あり。アタシの好きな風雅遁走というブログに「中秋の名月」について言及あり(こちら)。このブログの書き手フーゲツのJUN氏が偶然に拾った(つまり産経系は買わない、ということか……笑)21日付けの「夕刊フジ」掲載のコラム欄(13面/20日発行)の「中秋の名月」について書かれている。この夕刊フジの「中秋の名月」の書き手は産経新聞大阪編集局校閲部長。一流大新聞の校閲部長の職にある方が「すでにお気づきかと思うが、旧暦の15日の空には必ず満月が出る。どうしてかといえば、月の満ち欠けに合わせてこしらえた暦が太陰暦(旧暦)だからである」と言及。フーゲツのJUN氏の指摘は以下の通り。
これは、全くのあやまりだ。こと、中秋の名月に関しても満月と重なった例はほとんどない。これは、説明するに難しいのだが、結論を先に書いてしまうと、満月と15日の月の関係は平均0.76日あとにずれている。新月つまり「朔」から「満月」まで、平均は14.76日(13.8日から15.8日)で、これは月の衛星としての軌道がだ円運動をするからで、この誤差分がズレとなる。つまり最大値±2日ほどズレが常にあるのだ。ちなみに、「十三夜」とは旧暦の9月13日の月の事で、今年はグレゴリオ(太陽)暦で10月23日になる。このような月を愛でる私たちの風流な習俗は、花鳥風月のうつろいにこころ騒がせた先祖たちの風雅な心根によっているのだろう。月のことを書くのは、このブログにふさわしいかも知れない。こんなに「風雅」な時もないだろう。
ときちんと書かれている。「旧暦の15日の空には必ず満月が出る」だけならまだしも(ってこれだけでも間違いだが)それに「すでにお気づきかと思うが」とまで言ってしまったのが校閲部長とはお粗末なかぎり。具体的に見てみれば先月、旧暦の八月十五日は25日で中秋であったが今年は実際の旧暦八月の満月は9月27日。「中秋の名月」を中秋の満月と誤解する者も少なからず。十六夜の月も当然「満月の翌晩の月」に非ず。いざよひ=なかなか前に進まぬ事。源氏(葵)に「かのいざよひのさやかならざりし事など」とあるのは「月の出を早くと待っていても、月がいざようという気持ちから」陰暦十六日の夜の月(岩波古語辞典)。ちょっと具体的に説明すると、今年の香港では
9月25日 旧暦八月十五日 十五夜   日没18:17 月出17:13
9月26日   八月十六日 十六夜の月 日没18:16 月出17:51
9月27日   八月十七日 満月    日没18:15 月出18:29
となる。旧暦八月十五日は陽が西にぐっと傾く頃には東の空に浮かび始め名月を早夕から愛でたのに、翌晩もまだ昨晩の酔いからどうしても醒めきれず(なにか秘め事でもあったか、このへんが昔の人のアバンチュール……)期待してまた早夕から月の出を待っていたのに月はなかなか浮かんでこない「どうして月はいざよふのかしら、なんていじわるなお月さま……」が十六夜の月(橋本治的にはそういう感じ)。この38分の焦れったさ。こういう感覚でもってアタシも生きてみたい。早晩にまた驟雨あり。帰宅してドライマティーニをやる。土曜日からの三連休が何かと忙しく夕食後睡魔に襲われ殆ど何も出来ず。
産経新聞といえば築地のH君に教えられた記者のブログ(こちら)。文章も思考も幼稚だがブログとはいえ産経新聞の名の下に発表する文章で「政治資金規正法をしっかり当たったわけではありませんが」などという一節が臆面もなく登場。
▼歴史教科書での沖縄集団自決についての見解「見直し」を政府が文科省に指示。週末土曜日のデモでこの対応の早さは驚くばかり。昨日の福田二世の所信表明は憲法改正、教育改革には一言もふれず。産経新聞は社説(主張)で「希望と安心の道筋見えぬ」と怒りまくり。
厳しい政治状況を踏まえながら国民や野党に低姿勢で臨み、急場をしのいでいく。福田康夫首相の初の所信表明演説からは、そんなねらいが濃厚に漂う。(略)ただ、この国をどうしたいのか、肝心の柱が見あたらない。勇ましくこぶしを振り上げる必要はない。それは首相の流儀でもなかろう。しかし、国民に希望と安心を与えるというなら、進路を示すことが先決である。(平和外交もいいが国際関係のため自衛隊の力を生かし)憲法問題を直視する必要がある。
産経新聞の気持ちもわかるが、築地のH君の話しでは昨日の産経は(三度、産経の話題になるが)「新閣僚に聞く」で渡海文科相にインタビュー。そこで「新教育基本法に基づいてどんな教育行政をやるのか。国を愛する心を養うためにどんな施策を行うのか」といった産経的には肝心のことを聞かず。実は腰が退けて聞かなかったのか「聞いたけど産経にとってよくない回答(無視)だったから割愛した」のか。
エクアドルで急進左派のコレア大統領率いる「国家同盟」が制憲議会6割の議席得て圧勝。「21世紀の社会主義」掲げベネズエラチャベス大統領を信奉。中南米での反米の勢い盛ん。もはや米国もかつてのCIAなどによる干渉工作も能わず。
▼司法。裁判員制度実施に向け検察側は裁判員となる一般市民に向け説得力のある話法についてアナウンサーから学び、裁判所は一般人にはとんと理解できぬ裁判業界用語の是正を図り、で裁判員となる市民は模擬裁判で練習……もともと個人主義の理念、自律的な思考、公衆を前にした話法等々、我が国は陪審員制度導入にはあまりにも足りぬ点多し。
▼岐阜で肺結核に罹っていた医者が数ヶ月にわたり診療続ける。ベタ記事扱い。もし肺結核に罹っていた中国人が数ヶ月にわたり日本国内を旅行、だったらもっと新聞の扱いも大きかろうことよ。
読売巨人軍が5年ぶり畝リーグ優勝。中日と阪神にとって敵は巨人軍でありながら終幕間際で優勝戦線から外れた阪神が中日戦で勝ちを譲らず巨人優勝に貢献。阪神日本共産党の爪の垢でも煎じて飲むべき。

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