富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-09-30

九月卅日(日)二週間前に続きO氏とY氏と三人でMacLehose TrailのSection 4(馬鞍山)〜5(大老山)を歩く。杭口より西貢経由で西沙路の峠に八時四十五分。雲一つない快晴。気温摂氏31度は暑いがさすが中秋も過ぎると風も心地よく木陰には冷気。登山家でもあるO氏の眼にも西貢の鶏公山だの馬鞍山は標高三千メートル級の山並みに映るそうな。歌手のみなみらんぼう氏も香港で馬鞍山登ったそうだが「世界一高い標高700m」という表現は言い得て妙。だがO氏曰く、よく見ると登山道登る米粒ほどの人があっと言う間にどれだけ登っているか、もしあれが穂高だったら登山する人の身長は30mくらいですかね、とO氏の指摘に笑う。確かに。走ったわけではないが早足で歩き続け九龍見下ろす沙田峠のカレー屋(恒生商店)に午後一時前に到着。標高100mから700mまで登り小高い山を越えて15kmを4時間ならまずまず。鶏カレーと麦酒。歩いて黄大仙まで下り解散。黄大仙祠の周囲で法輪功の諸君、布教及び反中共政府キャンペーン盛ん。正門、裏門、団体バス駐車場と鼠の入る隙間もなく法輪功の宣伝。明日が国慶節でこの週末より大型連休、中国から香港旅行客多し。で香港の主だった観光地は大陸客に向け法輪功が踊る、の図。風呂屋に寄り按摩。帰宅すると畏友T君より電話あり。T君は草間彌生スタヂオ仕切るアタシの小学校から高校の同級生。来月一ヶ月、香港で(尖沙咀のHarbour Cityにて)草間彌生のexhibitionあり、その打ち合せ&準備で今日来港。一通り打ち合せ済み晩に香港側と夕食の由。今回の展示にかかわる件でアタシがちょいとお手伝いした件あり。その確認も含め急遽お呼ばれしHarbour Cityの廣東茶居なる食肆での夕食に末席を汚す。T君、今回同行されている同スタヂオのF嬢とホテルで暫し鼎談の後、帰宅。
▼立法會港島区補選に立候補の葉劉淑儀、親中御用政党民建聯にとって票田の北角にて昨日は選挙活動。北角は福建幇で蔡素玉の地元。だが30分の葉劉淑儀本人によるチラシ配りで少なくとも10名の市民がチラシ受け取り拒否。そのうち一人の青年はマスコミが取り囲む中、葉劉淑儀に対して「自分は港島区で投票権あるが、アナタには投票しない。陳太(アンソン=チャン)に投票すると決めてる」と堂々と言い放つ。葉劉淑儀は冷静に「チラシだけでも読んでみて」と求めるがチラシ受け取りも拒否され葉劉淑儀も立場なし。四年前の反感はいまだ消えず。
▼先週の朝日新聞にあるエドワード=サイデンステッカー先生の追悼記事(白石明彦編集員)。コロラド大学に寄贈されたという50年代からのサ氏の日記60冊。興味深し。
東京の湯島とハワイに半年ずつという生活が長く、永住権を取得して昨春から湯島を終の住処と定めた。下町に江戸の残照を見た永井荷風を敬愛し、下町散策を楽しんだ。谷中墓地を歩き、大正12年9月1日と昭和20年3月10日の死者の多さに気づいたと、晩年の随筆にある。
アタシが1990年当時あと少し東京に住まうのが長ければ池ノ端でサイデンステッカー氏の知遇得たJB君に連れてもらいサ氏のその湯島の家にお邪魔できたかも知れなかった、と残念でならず。

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