富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-09-28

九月廿八日(金)晴。ミャンマーの反軍政デモ取材中の日本のAPF通信所属記者が流弾に当たり死亡。蘋果日報記事)もSCMP紙もロイター配給の、この記者が倒れながらも兵隊が民衆追い払う光景撮影中の写真を大きく扱う。が日本では「遺族に配慮」か朝日も日経もこのロイターの写真はトリミングされ倒れてもビデオカメラ離さず撮影する記者の姿はない。センセーショナリズムでもなく、現場の事実は事実としてレンズに写ったデモ鎮圧、撮影取材中に倒れた記者の姿をそのまま出すことに何か差し障りがあるかしら。このミャンマーでの現実がむしろそのまま世界に報道されることが戦場や過酷な現場の記者の本望と思えてならず。諸事忙殺され晩に至る。帰宅してNHKのNW9を観ると上述のロイターの画像映し出され至近距離から撃たれたらしき映像もあり。だが報道は「どういう状況で撃たれたか」とお得意の市街地の無意味な模型など見せ流弾なのか意図的な殺害なのか?と推理(有閑)。流弾だろうが意図的銃撃だろうが後ろから撃たれようが前から撃たれようが、戦場であるとか軍がデモ参加の民衆鎮圧に武力行使する現場で、どうでもいいこと。平和ボケ甚だし。オマケにミャンマー日本大使館の公使まで電話口でこの記者殺害につき「どういう状況だったのか」と語らせようとするが(わかるはずもなし)、まずは「遺族の方に心からお悔やみ申し上げます」とお通夜の如し。外国人記者の入国が制限されている状況でヤンゴン市街で軍の民衆鎮圧の現場でビデオ撮影していた戦場記者の死因よりも「どうして軍政が続くのか?」を切り込むのがマスコミの必要性のはず。NHKのニュースセンターに年収1,000万円以上の職員がどれだけいるのかしら。……でこの低いレベル。報道に携わるのなら一度、修行のため戦場に出てみてはどうか。「現地の日本人の安否も気遣われています」とキャスターの柳澤某。民主運動家が自宅軟禁される軍政国家。独裁であるミャンマーであるとか中国、シンガポールに住まうのは自分なり隷属する企業の意志、判断なのでありリスクは本来自分で担うものなのだから日本政府が安否気遣う必要も非ず。アタシもそうだが日本国に対して所得税も納めておらぬのだ。庇護する必要もなかろう。而もそのような軍政府独裁の其処に家族連れていくことのリスク、ヤンゴン日本人学校を設けている必要性の有無をよく考えるべき。キャスター柳澤某の「明日、国連大使ミャンマー入りします。これにミャンマー政府がどういう対応をするのか、今後の対応を見きわめたい」という虚無な言葉で報道締めくくられる。馬鹿以外の何ものでもなし。NHKといえば社会部に堀某なる若手記者あり。現場で、クルーもクルーだが、いちいち「私のいるここがっ」と画面外で言ってからレンズの視野に飛び込んできたり、風景からカメラを思いっきりパンさせて現場の前に立つ自分に振らせる。陳腐。郵政民営化。これまで郵便局が郵便ばかりか貯金、年金まで扱っていたのが民営化で郵便配達の局員は貯金も年金も扱えず。而も局員のリストラで新聞配達も郵便局が担う僻地では新聞配達は夕方に。「今までは局の人になんでもお願いしてましたから、これからほんと不便になりますね」とNHKの取材に答える僻地に住まう住民の方々。ここでネタが終わる。これが報道か? 「こんな弊害もある郵政民営化、これを昨年の夏、多くの有権者が支持したのです」と往年の久米宏なら言ってみせたか。郵政民営化で不便強いられる方々に、郵政選挙では反民営化の候補に投票しましたか?と尋ねたい。小泉さんなら何か改革してくれるのではないか?と期待してあの時、自民党に投票していやせぬか。反民営化で共産党に投票するなりして意志表示したか。続いてのニュースです、「各地で地震災害に備え防災訓練」と。学校では地震予知情報が流れたら10秒もかけず防災頭巾かぶり机の下に隠れる訓練。防災頭巾被っても屈んで頭を守るため項(うなじ)から頸の付け根が顕わに。学校の机の支柱が何トンの落下速度に耐えられるのか知らぬが、その顕な頸を重さでやられたらひとたまりもあるまひ。防災頭巾はB29の空襲で火の粉の舞うなか防空壕に逃げ込むまでに有効。地震で机の下に隠れるなら、便所坐りで屈むより寧ろ、天井落下などの重圧から頸、そして頭を守るために床に横臥でもしたほうが安全というガイドラインもあり。肩の強硬な骨が頸や胸を守る。足を瓦礫に挟まれるほうがまだマシ。防災の訓練がどこまで真意に防災なのか、むしろフーコー的には防災訓練の名の下に権力により訓練がなされ、それに從う国民の養成こそ主眼。では消防署で何の訓練がされているか、といえば大地震予測の警報が流れたら、まずは消防車や救急車を建物の外に出す訓練。なぜかといえば、大地震で停電になった場合や建物が傾くなど被害で出ると消防署の車庫のシャッターが作動しなくなり、シャッターが開かず消防車や救急車が出動できなくなる可能性もあるからです、と。シャッターをつけなければいいのに。どうせ24時間体制なのだし夜半に賊も押し込むまい。ちなみに香港の消防署は車庫に扉あるが、横開きの蛇腹で通常は電動だが手動も当然可。で何処だかの消防署では、静岡が今日の最高気温摂氏35度という依然酷暑のなか、隊員の訓練で17kmだか持久走して熱中症で消防隊員が死亡。いつ非常事態で出動があるかも知れぬこと想定すべきが訓練(香港ならヴァレーボールと30分のジョギング)。消防隊員が熱中症でヘロヘロになってどうするのかしら。なにが危機管理なのか、てんでわかっておらぬ。相撲部屋の若手力士リンチ殺害は非難されるがこの消防署とて同じレベル。ミャンマーの軍政もおかしいが、日本もじゅうぶんにヘンなのだ。内田樹『先生はえらい』続き読む。

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