富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-09-26

九月廿六日(水)蘋果日報は「張學友狂炒菲傭 3年換21人 菲領事館列?名」と歌手のジャッキー張學友夫妻が三年の間にフィリピン人メイド21人を理不尽に交替させ在香港フィリピン総領事館でメイド雇い主のブラックリストに名前あり、の由。Z嬢と昼前に北角からフェリーで紅?。好像蔡明亮電影裡面的下雨。中秋翌日の休日に紅?に渡るは香港のミニバス大王・馬亜木氏の「紅?大環山新邨11-13 第二座地下」に登記されし住所の確認。日頃の生活の中で気になりつつきちんと「まとめていない」こと少なからず。その一つが「ミニバス大王」と称される馬亜木氏のこと。香港で六百輌のミニバス有し、ミニバスの運賃収益で不動産投資続け不動産資産がHK$20億とかいう記事も数年前に新聞で見たが「露出の少ない」富豪で、馬氏所有のミニバスには所有者として馬亜木の個人名で登記住所が「紅?大環山新邨11-13 第二座地下」とあるのだが紅?に大環山公園だの公共プールはあるが大環山「新邨」は見つからず。で調べると、この大環山邨新ってのは40年くらい前に紅?界隈が開発された当初の団地の名称で、その後それが紅?邨となり現在は家維邨。そこで家維邨に馬亜木氏の登記上の住所=会社?がどうなっているのか、を確かめに赴く。北角からのフェリーで渡海に驟雨あり。雨歇み見る見るうちに快晴。かつての黄埔の唐樓ならぶ路地を抜け観音廟に賽す。この裏手が家維邨。戦後の罹災者団地が如き公共団地も今ではすっかり立派な公共マンションに建て直されミニバス大王の当該住所は当然なし。G階には診療所や福祉事務所などあるだけで、考えてみればミニバスという公共交通機関とはいえ民間会社の事務所が公共地にあったらおかしい鴨。一応、このかつての大環山新邨「跡地」には馬亜木氏のミニバス会社は不在と判断。ちょうど路地に官塘行きのミニバスが泊まっていたので意味もなく乗車。官塘で雲南麺粉でも食そうか、と思う。ミニバスの車内で紅?の地図を見ると家維邨の近くに「紅?邨」発見。而も大環道という行き止まりの道。此処を見逃したのは不覚。官塘で贔屓の「雲南風味」に赴けば中秋で連休二日。隣の榮華川菜館という開業三十年余の上海料理屋に食す。小籠包、紅油抄手と銀芽肉絲。オンボロ、といえばそれまでの食肆だが、それを古めかしさとしてノスタルジーでPRする、なかなかの商売上手なり。食後、どうしても「紅?邨」が気になりタクシーで紅?に戻る。紅?邨に向うが此処も罹災者団地を重建しての公共マンション団地。ここにも馬亜木の手がかりなし。行き止まりの大環道。広い空き地あり。其処もかつては紅?邨で今後再開発でマンション建設待ちか。公共団地でもかつての罹災者向けの「難民アパート」ならG階にドサクサで公共交通機関と名乗ったミニバス会社が登記上此処にあったが再開発で建物取り壊され……と想像できなくもなし。但し現在も数百両のミニバスが登記上の住所を「紅?大環山新邨11-13 第二座地下」としておりアタシの調べでは新車ですら同じ住所が書かれている、という、そういうことが許されていることがかなり不思議。そもそもアタシが何故こんな事が気になり始めたか、といえばミニバス会社の登記住所が「大環山新邨」という公共団地にあること、なのだから。謎は深まるばかり也。バスで油麻地。Cinemathequeで第4回香港亜州電影節のうち河瀬直美監督『殯の森』観る。満席。カンヌ映画祭でのグランプリ(審査員特別大賞)受賞作。優しいようでいてかなり無理のある展開、一昼夜かけて彷徨う山中が「とても奈良らしい」里山のような光景であること、など、『萌の朱雀』から河瀬直美監督の作品を看ているアタシらでもちょっと疑問点少なからず。ただ例えば『垂乳女』で生と老い、に続いてこれを観ると、この抽象的な作品でテーマ明らか。主演のうだしげき氏は奈良の地元の文人。河瀬監督の「火垂」に感動していたが「監督と居酒屋でたまたま会ったのが縁」で、以後、監督の協力者となり今回が役者に初挑戦の由。奇縁。尾野真千子はデビュー作『萌の朱雀』から10年で、すっかり大人の女性になっていた。観客として、この河瀬直美の世界にすっかり浸かることだけ。午後遅く映画館を出ると中秋も過ぎ、だいぶ傾いた太陽が油麻地の市街に、夏にはない興味ぶかい陰影を浮かび上がられている。急いで帰宅し早晩に?箕灣。アタシらの所属するランニングクラブ恒例の「十六夜の月を愛でるトレイル」で十数名でバスで石澳の岬のつけ根。香港トレイルを逆走し小一時間で「龍脊」に上がる。午後遅くからまただいぶ雲が出て暗天となるが辛うじて雲の絶え間に東の海上に浮かぶ十六夜の月を愛でる。持参のビール飲み干しウエストバッグに忍ばせた携帯用小瓶のジャックダニエル飲む。二更に?箕灣に戻り越華會海鮮小館。路上に貼り出しの卓で夜風浴びつつ海鮮に舌鼓。麦酒を大いに飲む。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/