富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-09-20

九月二十日(木)安倍内閣メールマガジン「これまで、安倍内閣メールマガジンをご愛読いただきましてありがとうございました」と先週の首相辞任伝えた第46号が最後だった由。第46号での反響を発表(こちら)。本日、郵政署から「香港法定古蹟」の記念切手発売。さっそく購入。今回の切手の意匠かなり落ち着いており、前回の野鳥シリーズも含め、香港の近年の一連のダサい記念切手続くなかでは多少、真っ当に軌道修正か。諸事に忙殺され晩に至る。
▼新聞は短い文章で内容を正確に伝えるもの、と信じているが最近の記者の乏しい文章力ではそれも無理。例えばロイターの「国連謝意決議、民主党は国連中心主義外交の見直しを=官房長官」という記事。見出しだと「民主党=国連中心主義外交、それを見直せ」と読めるが、記事を読むと
与謝野馨官房長官は午前の会見で、19日に国連安全保障理事会での謝意決議に関して、「日本の給油活動が国連の意志に合致した行動をとってきたことに確信を得られた」と述べた。国連安全保障理事会は、アフガニスタンでの米軍主導の作戦での日本を含む各国の貢献に謝意を示す一文を盛り込んだ決議を賛成多数で採択した。官房長官は、民主党に対し「国連の意志を尊重して外交を行っていくということを一度考え直してもらう必要がある」として「全体の考え方の整合性をどうするのか、鳩山氏などに課せられた宿題だ」と述べた。官房長官は「小沢代表の思想は国連中心主義であり、どういう形であれ、憲法の制約の中で国連の意志に従って行動するというもの」との認識を示した。さらに「国連の謝意決議は、日本の給油活動を評価し将来継続することが必要だと安保理が表明している」として、小沢代表に海上自衛隊の給油活動継続のために必要な新法成立への理解を求めた。
そうで、この記事からだけ事実関係を理解しようとすると、日本の米国支援=国連で認められたもの、だが民主党に対し「国連の意志を尊重して外交を行っていくということを一度考え直してもらう必要がある」となると、民主党に「国連の意志を尊重するな」となりゃせぬか。それで「国連の謝意決議は、日本の給油活動を評価し将来継続することが必要だと安保理が表明している」のだから民主党の小沢代表に理解を求める=国連の決議を尊重せよ、ってぐちゃぐちゃ。……で困って他の記事を探ると朝日新聞の「町村外相、安保理決議を歓迎 海上阻止活動に言及」は
町村外相20日午前、海上阻止活動に言及した新たな国連安保理決議が採択されたことについて、「我が国としては、この決議を歓迎する。引き続き、責任ある国際社会の一員として活動を継続する必要があると改めて判断した」と外務省で記者団に語った。町村氏は今月上旬に豪州で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の際の日米外相会談で、新決議への協力を米側に求めたことも明らかにした。採択の際にロシアが棄権したことについては「採択されたという事実が重要なのであって、全体の決議の意義を減殺するものではない」と述べた。高村防衛相も同日、記者団に「(有効性は)全く薄れない。反対ゼロ。有効投票14票で全部賛成。これを国際社会の意思と言わないでなんと言うのか」と有効性を強調した。与謝野官房長官も同日の記者会見で、「国連安保理の決議は過去の給油作戦の重要性を認識し、諸外国の行った活動を評価し、活動の継続が必要であると表明されており、国連の意思はそこにある」と同党の対応を牽制(けんせい)した。
とあるが、この官房長官の談話について「同党の対応を牽制」って、その同党がどの党なのか不明(笑)。もう「いい加減にしてよ」というくらい杜撰。記事も切り貼りだからこういうことに。真っ当な記事を探すと日経の「高村防衛相「民主党の反対理由なくなる」、鳩山氏「十分でない」」だろうか。
海上自衛隊が支援するインド洋でのテロ海上阻止行動(MIO)などに謝意を示す決議を国連安全保障理事会が19日にも採択する見通しになったことを踏まえ、日本政府は海自の給油活動継続に向けた新法案の作成を急ぐ方針だ。野党の民主党は「新決議の内容は活動継続の明確な法的裏付けと言えない」として反対姿勢を続ける構え。与野党どちらの主張が世論の支持を得られるか、今後の国会論戦が極めて重要になる。参院で第一党となった民主党小沢一郎代表はアフガニスタンでのテロ掃討作戦について「米国の戦争であり、安保理決議で正当と認められていない」との立場だ。高村正彦防衛相は19日午前、記者団に「(新決議があれば)民主党の一番大きな反対理由はなくなる」と強調。与謝野馨官房長官は記者会見で「国際社会が日本の活動をどう評価しているか。理解する目安となる重要な決議だ」と語った。民主党鳩山由紀夫幹事長は記者団に「国連安保理決議は必要条件であって十分条件ではない。結論を大きく変えることにはならない」と力説した。
というもの。最初に挙げたロイターの記事をわかりやすく正確に書き直すと
官房長官は、民主党に対し今回の国連決議を受け米軍支援反対について「国連の意志を尊重して外交を行っていくということなら、もう一度考え直してもらう必要がある」として「全体の考え方の整合性をどうするのか、鳩山氏などに課せられた宿題だ」と述べた。官房長官は「小沢代表の思想が国連中心主義ならば、どういう形であれ、憲法の制約を受けつつ国連の意志に従って行動するというもの」との認識を示した。さらに「国連の謝意決議は、日本の給油活動を評価し将来継続することが必要だと安保理が表明している」として、小沢代表に海上自衛隊の給油活動継続のために必要な新法成立への理解を求めた。
ということか。書き直してみると、記事の表現というより官房長官の発言の「てにをは」がおかしい。ただ記事も発言をそのまま、ではなかろうし、発言というのは脈絡あってものなので、部分だけ取り出すと文法的にはヘンであったりするから、意味が正しく伝わるように書き換えるわけで、いずれにしても記事がヘン。ロイターで英語で書かれた記事の自動翻訳か……まさか。
*この記述について、ネット上の報道記事は随時書き直されるため引用記事がリンク先の本記事と異なっているかも知れず。請御了承。

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