富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月十二日(水)安倍三世首相辞任。辞任記者会見、どのマスコミより2ちゃんねるのほうがネット上では内容掲載が早い現実。Z嬢はこの報道でピラゴラスイッチが放送されず、と嘆く。安倍三世のテロ特措法で辞任は祖父の安保改正で辞任がトラウマか。「戦後レジームからの脱却」と宣ったが「美しい日本」も作れず憲法改正も出来ぬうち首相就任から一年ももたずに失脚は「日本は戦後レジームから脱却してはならぬ」という神の御信託か。そう受け止めたい。辞意表明がロイター通信の取材でだとか、自民党党内では国会対策委員長に対して「私は辞任するので、代表質問に答えるわけにはいかない」なんて言い回しでの意思表示だとか、民主派の小沢代表に会談断られたことが響いたとか、緊急記者会見ででも「テロとの戦い」「テロとの戦い」とさすがブッシュに勝るとも劣らぬ正義の心。
今後、テロとの戦いを継続させるうえで、私はどうすればいいか。むしろ、局面を転換しなければならない、新たな総理のもとでテロとの戦いの継続を目指すべきではないか。
って小学生が仮面ライダーごっこして「ショッカーの悪に対して我々はどう立ち向かえばいいのか」ぢゃないんだから。麻生太郎君は首相辞意の意志を「聞いていた」と大物ぶり示すがアナタは毛主席に「後を任された」とした華国鋒か。安倍三世もひどいが、それを党総裁=首相に推した自民党ぢたい責任とるべきではないかしら。総選挙すべし。ところでこの乱世に誰が最も賢明か……天皇皇后両陛下は本日昼前に那須御用邸に到着し十五日までご滞在し静養の予定。早晩に尖沙咀。David Chan氏のカメラ店に宮脇の扇子と松屋の傘届ける。代金受け取ったが、これがレンズに化けぬよう早々に退散。本晩外食の予定が安倍三世辞任で「ぢっくりとNW9で」決め込みホリデー院のdelicatessenに腸詰めやサラダなど購い帰宅。Ch BernadotteのGrand Vinの00年飲みながら生ハムとメロンで(ってなんかお祝いみたいだが)安倍三世の辞任記者会見の模様眺める。憔悴しきった表情はちと可哀相。テロとの戦いテロとの戦い、とまるで何かに憑かれたよう。小泉三世の御世、拉致、拉致と拉致でご活躍の溌剌さの頃が懐かしい。民主派小澤君は会談断ったといっても国会開幕でのご挨拶と国対委員長通して言われたので今更ご挨拶もないでしょう、と会見断った、とそれも「そう聞いている」といった程度のこと。まさか辞任の一つの要因に会見拒否が理由づけされようとは、さすがの小沢一郎も唖然。国民新党の亀井さんが自民党の「党としての責任」に言及は御意。舛添君、そういえば二十年前くらいに『自民党が野党になる日』って本をカッパブックスで上梓していたが自分が「自民党が野党になりそうな日」に自民党籍でしかも内閣成員になっていようとはご本人も思っていなかったか。渡辺ミッチーの悔し涙はもう北区十条の篠原演芸場。首相の所信表明演説を受け代表質問に立つはずだった民主派鳩山君の「バッターボックスに立とうとしたらピッチャーがいなくなった……投手(党首)ですから」は本人も不謹慎と思ったか「笑ってる場合じゃない」としつつ笑いを堪え切れなかったほど往年の三平師匠のような切れ味のギャグ。
暴力団絡みの闇金融で香港での資金洗浄に協力したとして罪を問われるクレディスイス香港の邦人元行員、二審でも無罪(そうだろう)。被告は判決を当然としつつ「失ったものが大きい」とコメント。瑞西の銀行に流れる何十億円のカネ、きれいなはずもなし。それを扱うから銀行員が年収何千万円(下手したら何億円)の収入を得る。失ったものが大きい、って感覚は庶民には理解できぬ。
▼アタシ的には安倍首相辞任、の陰に隠れてしまったが「香港の良心」(と言われる)陳方安生女史が立法會補選立候補表明(昨日)。さきの行政長官選挙では立候補回避し何故今回は?との質問に対して「60万人の市民が一人一票で一人の議員選ぶ選挙と、800人の選挙人がsmall circleで投票するのとは天と地ほどの差がある」と一蹴。信報は社説で「我々は立候補辞退を勧めたが」としつつ「次の目標は行政長官か?」として彼女の立候補は最善にならぬ、と指摘。今回の泛民主派のアンソン女史擁立は密室作業と批判的。アタシは個人的にはアンソン女史の負の面もあろうかと思うが行政長官にまでなる意志も彼女になかろうし選挙において候補者擁立はどうしたって水面下での作業は必然、と思う。信報の一コマ漫画で市民が多数、葉劉淑儀女史の下に集い「頑張れ!」という声にレジーナ女史が「みんながアタシを応援してくれるのね」と喜ぶが実は群衆の中に「慶祝陳太参選了!」と横断幕あり。レジーナの立候補が結果的にアンソンを引っ張り出してくれた、と皮肉。アンソン女史が政務司長であった当時、レジーナ(当時、Immigration Dept署長)は待遇などに私怨もあり行政長官董建華に取り入り二人の間には確執あり。その二人がこの補選で争うのは面白いがレジーナは本来、先週末には立候補正式表明のはずがアンソン擁立見極め続け。今日の信報で余錦賢という人がアンソン女史が「反政府=民主化」という政治的な意志表明ではない、「泛民主派の領袖になるような意志はない」としつつ今回の立候補、昨日の記者会見もあえて5つ星ホテル選ばずに香港小童群益會を選び民主派大物を並べるでもなく娘一人連れるだけで殺到した記者、カメラの中で「孤身主演独脚戯」したことも実に見事な演出として、まるでウッディ=アレンの“Take the Money and Run”(邦題は「泥棒野郎」)を彷彿、と。御意。

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富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/