富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

八月廿日(月)曇天。気温摂氏卅度に至らず涼しげ。旧暦も七月に入り初秋思わせると言えばいいのか異常気象なのか。諸事忙殺され晩に至る。久々に養和病院の滑鶏?仔飯食す。医院飯ながら美味。オコゲも良し。嘉次郎監督の『洋食考』読了。続けて『日本三代洋食考』読み始める。
▼湯桶について。久が原のT君より。茶懐石では「焦がし米の塩湯」が湯桶で供され一口残せし飯と香の物で湯漬けをし、その湯で最後に飯椀・汁椀・向こう付の皿を清め、全部飲む由。そもそも禅寺の食作法なり。今は洗米を炒って塩湯に入れるところが多いが、本来は飯釜に水を入れ底のお焦げを剥がしつつ煮立てて塩加減して出すもの。釜洗いと廃物利用の一石二鳥で炒り米よりもよほど風味よし。で、この塩湯のことも「湯桶」と言う。であるから飽くまで食器が代用語になっただけ。湯桶という品物と言葉そのものを知らぬと「ユトー=蕎麦湯・お焦げ湯」のことと誤解される鴨。ところで嘉次郎監督が「蕎麦屋の湯桶は安物だから」四角で隅に口がついている、と書いていたが、茶懐石の湯桶は檜曲を黒塗にした(精進の場合は朱塗の)丸い利休型だそうな。

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