富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-08-13

陰暦七月初一。薮用あり旺角。かなり久々に陽光。旺角の繁華街をArgyle街より廣九鉄道の橋桁潜り暫く歩くと中華電力の本社ビルが左手に。昨晩、松山巖の『乱歩と東京』読み始めたからか、この中華電力にせよ街並みがどこか乱歩的に見えて仕方がない。路地の闇。Kadoorieの丘に登る坂道が迷宮の入口のよう。Waterloo Rdを渡る。政府の肺病診療所。結核が死の病だった頃を彷彿するような古い建物。待合室は外に向けて扉が開け放たれ、通道の移動式のベッドには死んでいるように眠る老人。半世紀タイムスリップ。肺病診療所の隣は西九龍診療所。公立の診療所で診断と配薬は一律HK$84で、この建物もかなり古めかしい。この診療所の背後の丘に大型の九龍医院がそびえるが、なぜ肺病診療所も西九龍診療所も、この大型病院に吸収されずにひっそりと二つが現役なのかしら。車で通り過ぎても歩くのは、このあたり初めて。興味深い地域。Argyle街をさらに九龍城のほうに向けて進むと、かつて英軍の軍営であった一帯は今は医療管理局の大本営。軍営が医療機関に置き換わるのもフーコー的に面白い。此処から北に折れてJunction Rdに入る。何がjunctionなのかと、歩いて考えてわかったが、Argyle街の軍営から九龍塘の九龍東軍営をぐるりと結ぶ軍用道路か。かつて「九龍城砦」があったことなどまるで忘却の彼方、の公園。結局、樂富まで歩く。かつて樂富邨の公共団地のあたりは再開発されジャスコの入居する商場となった(といってももう十年近く前の話だが)。ずっと記憶を辿りつつ歩く。汗ぐっしょり。晩にF氏に招酒を受けS氏と三人で寿司加藤。F氏宅にまでお邪魔し鼎談款語三更に至る。タイより戻り雨が初めて終日降らず。

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