富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-06-30

六月卅日(土)十年前彷彿させる不安定な雲行き。驟雨。昼過ぎに中環。Stanley街のエベレスト写真店にてコダックのTMax400を10本購入。写真フィルム、殊に白黒となると最近は購入も難儀。カメラ店並ぶStanley街でもフィルムはこのエベレストと決めていたが店内に写真機の在庫ほとんど失せて古い写真機の速写型皮カバーなど放出品で並び「この店もそろそろ閉業か」の予感。福和煙草店(Tacaqueria Filipina)にてロンソンのライター用の瓦斯とオイル、それにZippoのflintを購う。別に何処でも買えるのだが敢えて蘭桂坊の坂上鄙びた福和煙草店訪れる。この店もあと幾許の営業か。もののあはれ。旺角に渡り信昌レコート店。いやはやマイナーレーベルの宝庫。東欧のコレクションはかなり面白そうだがあたしには素養なし。言わずと知れたBBC蒐集より2枚を先ず選ぶ。ゲンナジー=ロジェストヴェンスキー指揮のレニングラードチャイコフスキーの4番とロストロポーヴィッチショスタコーヴィッチのチェロ協奏曲1番。このチャイコフスキーの4番は1971年の冷戦の最中の倫敦ロイヤルアルバートホールでの演奏で第4楽章が終わるか終らぬかのうちから拍手喝采の記念碑的演奏。二日後のロストロポーヴィッチも名演はアタシが説くには及ぶまい。そしてもう1枚はロジェストヴェンスキーとロストロポーヴィッチがLSOでハイドンのチェロ協奏曲1番とサン=サーンスの同じくチェロ1番。そして2枚組(こちら)はフルトヴェングラーが1947年に伯林を振りブラームスの4番(1948年)と1番の第1楽章のみ(1945年)に独逸鎮魂曲ルツェルン祝祭管弦楽団でエリーザベト=シュヴァルツコップ(ソプラノ)にハンス=ホッター(バス・バリトン)。これも歴史的名盤。ここまで3枚は購入決定だが偶然に今日までHK$500購入すると永久会員の特典だがHK$30足りない、の「グリコがっちり買いまショウ」状態で流石にHK$30の名盤ある筈もなし。で午後の予定あり時間切れか、と地踏鞴を踏んだが、ふと陳列にフルニエ師のバッハの無伴奏チェロ組曲の1972年東京実況録音(FM東京TDKオリジナルコンサート)が2枚並ぶを見る。バッハのチェロ無伴奏はフルニエのスタジオ録音も含め十名近いチェリストの演奏のCD有するが、このFM東京TDKの「買い」は当然。で都合5枚を購入。いい買い物、と満足。薮用済ませ早晩に久々にQuarry BayのEast EndChimayのルージュ一瓶飲む。豪州と新西蘭のラ式就球の試合中継あり。新西蘭応援の酔っ払いが6人いたくらいで店も混雑もしておらず。煙斗を燻らそうとするとカウンターで二つ程離れた席にいたオヤジに「こりゃたまらん」と避難される。パイプ煙草も間接喫煙には違いないが。酒場に近いWatson's Wine Cellarで葡萄酒4本購い帰宅。ドライマティーニ一杯。菊正宗を冷でくっとひっかけて鮪の中落ち丼。ロストロポーヴィッチからロジェストヴェンスキー、フルトヴェングラーと本日購入のCDを順々に聴く。フルトヴェングラーブラームスの独逸鎮魂曲はSPからのCD化で音質の悪さは覚悟していたがCDまでガリガリ、とひっかかったような雑音あり(怖)。音楽といえばNHKのニュースで見たが本日がアシュケナージN響音楽監督としての最後の演奏会。ニュースではベートーヴェンの田園が流れ「最後の演奏が田園?」と複雑な思いでネットで見たら何と今晩は田園とベト7番!であった。アシュケナージもじゅうぶにミルヒ先生に似ているが今晩の「満員御礼」は田園と7番で「のだめ」効果か。まんざら否定できぬ選曲。
国家主席胡錦涛君の来港。空港からの大名行列は露払いの白バイ6台、警察車両5台、胡錦涛君専用車、警察車両3台に救急車1台と白バイ2台、それに随行や警察精鋭部隊飛虎隊乗せた車両など更に10数台から20台以上が続く。空には飛虎隊のヘリコプターが舞い海では水上警察が警戒。日本の首相どころか米国総統でもここまでやるかね、の厳重警備体制。実際、中国国内でも国家主席の御幸でここまでやるかどうか。香港政府が「もし万が一のことがあっては」での過剰警備。宿泊先となった湾仔のGrand Hyatt Hotel周辺の警備厳重で十歩歩けば警官一人。記者らも直接胡錦涛(本人どころかその車両隊)を見える距離にも近づけず(ちなみに温家宝首相など来港の時はホテルなどの道路反対側からの撮影取材は認められていた由)。ホテルに暫し休息の胡錦涛君、午後の市内視察は報道関係者にも行き先事前公開されず取材は二時間前に中環の指定場所に待機命じられ、結果、行き先は馬鞍山のスポーツセンター見学及び国家主席自身の卓球交流と二軒の家庭訪問。本日は海洋公園でのパンダ贈呈式などに出席し明日、市民デモが始まる午後を待たずに離港の由。
▼今回の衆院選挙。元レバノン大使の天木直人氏が立候補(9条ネット)。同じような主義主張での立候補は前回の04年の参院選挙では中村敦夫氏(みどりの会)が90万票得たが落選。今回の天木氏は(共産党と腐っても社民党の党外協力得られず)下手するとその90万票にも満たぬ泡沫候補になりかねないが国弘正雄氏が応援。新社会党といえば矢田部理氏は先考の高校時代の旧友。天木氏は日刊ベリタにも記事を書かれておりアタシはいろいろ思うところあり記事送稿せぬようになり久しいが。

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