富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-06-23

六月廿三日(土)空が白むと朝五時過ぎに目が覚めちまう、全く。あたし自身が新聞の朝刊の配達をまだか、と待つ齢になろうとは。快晴。何かと雑事早めに片づけ昼までプールで一時間半ほど泳ぐ。というかあたしの場合、水遊び程度。深水?の西九龍中心の傘屋、梁蘇記。1885年に広州で開業。1941年に九龍に分店開き港島区にも店を出したが86年だったか港島の店を閉じ、その時に客が閉業惜しみ詰め掛けた話は杜國威の映画『人間有情』に描かれた由。香港の豪雨に堪える丈夫な傘づくりは定評あり(倫敦製の上品な傘では香港の豪雨にはとても太刀打ちできず)。店の名も正しくは梁蘇記「遮廠」。いぜんから一つ手許に置こうと思いつつ機を逸し今回「こんなのあり?」の、これなら大雨も凌げようという大きさの折畳み傘購う。九龍湾と深水?を土曜日の午後だとタクシーで龍翔道飛ばしてわずか10分。大埔道に上がるBeacon Hillや獅子山、黄大仙などパノラマのように景色変わる愉快。一旦帰宅して着替えてからZ嬢と中環のリッツカールトンホテルの伊太利料理店トスカーナ。年内でこの中環のホテルは閉業。オフィスビルに建て替え。リッツカールトンは九龍で新規開業の由。80年代の日本のバブル崩壊でこのホテルに投資の日本の会社倒産し当時の東海銀行がこの物件を抵当にし、開業まですったもんだ、でどこか垢抜けず、というか華のないホテル。リストランテトスカーナはそれなり、で「もう一度だけ行っておきましょう」で今晩。「今晩はようこそ」で供された三鞭酒はVeuve Clicquot Ponsardinのブリュット、だが二人なのにグラスに一杯だけ。タダで供された酒に文句つけちゃいけないが二人の客に一杯は野暮でしょう。でもう一杯追加するわけで、これはタダぢゃないから、結局「売上げに貢献」。いつもの通り前菜二皿(フォアグラとホタテ貝のソテー、カルパッチョ)に主菜は羊肉、を二人で全て半分ずつ、でもけっこうな量。葡萄酒はトスカーナのAvignonesi醸造所のVino Nobile di Montepulcianoの04年。これまた量のあるチョコレートのケーキも供される。あたしの背後に日本人のオバサン四人で会食、お会計でどうして電卓が出て来るかねぇ。給仕がお会計に来て一人がクレジットカード出してまとめて払い、は「まだマシか」と思ったがカード出しただけでサインもせぬから、給仕はつっ立ったまま「待ち」の状態で、そこで電卓登場して割り勘の算段は奇妙な光景。今晩も夕陽も美しく半月も見事。夜の中環の静寂もまた心地よし。携帯で写真を撮るなんて……といいつつカメラ持参せぬ時はアタシも携帯でちょっと撮影。これがそれはそれで面白い写真が撮れるから困ったもの。
▼久が原のT君が初台のオペラ座で「薔薇の騎士」御観劇、とメールにあり、維納のペーター=シュナイダーが東フィルを振り、東フィルが二幕目以降はさながらヴィーンシュターツオパーの音色に変化、に驚きとT君。ところでシュナイダー、バイロイト音楽祭で「さまよえるオランダ人」で世界の注目集めたのが1981年でもう四半世紀以上も前のことになっていたとは……愕然。シュナイダーがもう「ベテラン」って、当たり前だが皆な年をとったもの。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/