富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-06-09

六月九日(土)朝、自宅で雑用済ませてから中環の銀行。年に一度の生命保険の掛け金支払いをクレジットカードで済ます。去年までクレジットカードで支払いできることに気づかず結構な金額なのでマイレージを何万マイル損していたか。Colorsixで写真現像受け取り。昼まで九龍公園のプールで泳ぐ。佐敦の麥文記で雲呑麺食す。美味至極。午後、九龍で用事済ませ早晩に西湾河の電影資料館。今月はOrson Wellesの映画特集で計9本上映。大したもの。あたしは『市民ケーン』をNHKの深夜名作劇場とDVDで見たくらいなので数本見ることに。“The Stranger”は米国に逃げたナチの大物を追うミステリー。米国のコネチカットの郊外の小さな町の男子校で歴史教える教師が実はナチで大量殺戮計画の大物。これを追う調査会と、この大物の居場所探し出すために泳がされたナチの強制収容所の元所長。筋も面白いし役者も上手いが、なにせキャメラと構図がやっぱり凄い。用事のあったZ嬢と西湾河の二記海鮮飯店で軽く夕食。また一人で映画館に戻り、今度は『上海から来た女』を見る。リタ=ヘイワースの美貌。筋は今ひとつ途中、経緯がわからぬ、と思ったら劇場公開用に1時間もカットされたそうで(それでも99分だが)、だがフィルムがオリジナルプリントでも残っていたのか画質の状態がいいからオーソン=ウェルズの映像の凄さ楽しむには最適。それにしても一歩間違ったら火曜サスペンス劇場なのだが巨匠が撮ると映像だけでもやっぱり歴史に残る映画。最後の「ビックリハウス」なマジックミラーや幻想的な仕掛けばかりが有名だが、そのマジックハウスから出てきた、寂れた郊外の行楽地の鄙、前半のカリブ海に遊ぶ意味もなく長いシーンの実は緊迫感であるとか、紐育のチャイナタウンの京劇の劇場での役者らの目配りでまで演技させる、その見事さとか(普通ならチャイナタウンという異質さだけしか映画では使わぬであろうところを)、映画としていくらでも楽しむところあり。見終わった映画のことをあれやこれや考えながら散歩しながら帰るのも楽し。

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富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/