富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月三日(木)憲法記念日朝日新聞が一面トップで論説委員若宮啓文君の「提言−日本の新戦略 憲法60年」という護憲論を載せ、更に前代未聞で本日社説21本掲載し「さあ、ページをめくってください」と若宮君は持論締めくくったが「国際衛星版は紙面の関係で社説掲載は四日になります」だ(笑)。憲法に関する社説を憲法記念日に載せずにどうしよう、と言うのか。昨日の朝日によれば憲法改正を必要が58%、必要ないが27%、とくに20代の若輩どもは78%が改憲で不要は13%しかおらず。70代でようやく改憲派護憲派が拮抗(40:36)。改憲が必要な理由は「新しい権利や制度を盛り込むべき」が9割で9条改正についても(40代以上と対照的に)改正に危機感もなし。戦前を知る世代が改憲に懐疑的なのが興味深いが、その日の朝日の投稿にも横浜の69歳の男性が「繁栄と平和は9条が支えた」と気骨ある意見を載せており、それを読んでいたら「私の祖父喜重郎は、終戦直後、首相の任にあり」とあり、思わずのけ反ったが、投稿者の名前をみれば「幣原さん」で幣原喜重郎のお孫さんであった。終戦後の同じ保守党の政治家の孫でも何処かの首相とは大違い。というわけで本日、左目はいぜん充血と目脂ひどし。こんな日にかぎって終日、パソコンと睨めっこ。
成田屋紫綬褒章受章につき松竹のメール曰く「市川團十郎が、平成19年度春の褒章で紫綬褒章を受章されることになり、歌舞伎座で記者会見を行いました」。故永山会長以来相変わらず敬語の使い方のおかしいのが松竹歌舞伎。松竹に帰属する役者だから、と成田屋を敬称つけず、でありながら「受賞される」と尊敬表現。本来「市川團十郎丈が……受章される」か「市川團十郎が……受章することとなり」が自然だと思うのだが。
マカオでの警官による対デモ対威嚇射撃について。警察側はデモに巻き込まれ路上に転倒の市民あり安全確保の制御のためと威嚇射撃が状況上止むを得ないという判断をばしていたが、この混乱のなか路上に倒れた老婆(この直後に警官は発砲)はマスコミの取材に対して「サンダルが脱げたんでサンダルを拾っただけ」と答え擦り傷一つなし。警察側は混乱した状況で警官の判断の誤謬も致し方ないとするが現場にいた市民は口を揃え警官の威嚇射撃で現場が混乱したと指摘。陶傑氏は蘋果日報の連載随筆で、この威嚇射撃の銃弾を300m先で偶然に受け入院した男性について病院側がこの男性の体内に「飛行性のある金属片」が見つかった、と述べ、けして「銃弾」とせぬところが言語の政治性だと指摘。御意。

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