富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-05-02

五月二日(水)左目の充血と痛みひどく養和病院で医師の診断受ける。点眼薬で赤目のものの他に「抗生物質の点眼薬」までくれる。香港の抗生物質漬けは今更驚かぬが点眼薬まで抗生物質系をくれようとは……。浣腸とかも抗生物質入り、とかあるのかしら。昼にちょっと用事で訪れた中環のビルからStar Ferryの旧波止場がすっかり解体されたのを見た。あれだけ「携帯で写真撮影は邪道」といっていたが時には便利、でしかも写り具合は悪くない。
▼晩に久々にNHKのNW9を見る。やはりキャスター「会津の男」柳澤某が可笑しい。今晩は米国総統選挙で民主党候補として小浜君がヒラリー女史抑え支持率トップに、というニュース。かなり現地からの画像も入れて時間をかけた内容。これについて柳澤某曰く「オバマ候補が支持率トップといってもアメリカで支持率を出す大きなマスコミが4つあるんですが、そのうちのたった1つですからね。それにまだ大統領選挙は来年の11月ですし」と。コメントとしては的確かもしれないが「アンタはコメンテーターじゃなくてキャスターなんだよ」と言いたいところ。自局がまとめた報道について、このまるで冷や水を浴びせるコメント……またプロデューサーが「柳沢の野郎……」と怒っていそう。同じNW9で「丸の内で音楽祭」を紹介。ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」なるGWに合わせた音楽祭で主催は東京国際フォーラム。で今年のテーマは「民族のハーモニー」だそうで、なんでフランスのどこだかの港町で10年くらい前に始まった奇抜で気軽な音楽祭の物真似企画で「民族のハーモニー」なのか怪訝に思ったが、調べてみるとやはり音楽祭実行委員会の名誉委員長は都知事(笑)。西欧音楽での民族主義とは19世紀末から20世紀初頭にかけてのチャイコフスキースメタナとかの所謂、国民楽派ってやつでしょう。それがどう奇抜であるべき「熱狂の日」のコンサートに反映されているのか。しかもモーツァルトの生誕250年まで組み込んで……。根本的に何も考えていない、か。
▼昨日のマカオでの労働者デモに対する警官の威嚇発砲がかなり話題に。その宙に向けた威嚇発砲を「向天鳴槍」なんて漢語で表わされているのにうっとりしている場合ではない。この威嚇射撃で銃弾が放物線を描き300m先でバイクを運転していた男性の肩にめり込んだのだ。信報社説は澳門のこの騒動について、香港が70年代の経済成長を受け80年代に製造業の中国内地への移転、香港の金融とサービス業への産業構造変化を経た(経ざるを得なかった)のに対して、澳門も本来はカジノ収益がGDPの7割を占めるのだから産業構造の変化は容易い筈なのに過去八年、特区政府は澳門経済の多極化に対応せず、カジノ産業とそのためのインフラ整備=土建という企業にとっての利潤獲得ばかりで(香港の場合、80年代の産業構造変化でコスト高=利潤ばかりがけして高くない社会の到来は必然であった)、土建業にいたっては内地からの不法就労者を雇用するなど、このような状態で澳門市民、労働者の不満が高まるのは必然、と。御意。マカオの銀行による北朝鮮の裏金操作について米国政府が暴露、抗議したのも実はマカオのカジノ産業が本場ラスベガスをも営業額で抜いたことに対する米国政府の「強い関心」の表れ、とこの社説は述べている(興味深い)。いずれにせよマカオがカジノ依存の経済構造の体質の改善を検討すべき時が到来、と指摘。ところで、朝日新聞はこのマカオでのデモと警察による鎮圧を写真記事にしているのだが「警官隊は威嚇の発砲をしたが、けが人は出なかった模様」とキャプション入り。「けが人が出なかった」が警察によるデモ鎮圧全体によるものなのか、発砲での直接の怪我人に言及したものなのか文章からは不明だが、いずれにせよ昨日の晩の報道から、デモで怪我人が出ていること、この発砲による銃弾で怪我をしたとされる男性が入院、と報道されていたわけで「けが人は出なかった模様」はあまりにも呑気。誰が何処まで事実確認して記事にしているのかしら。

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