富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-03-18

三月十八日(日)香港ダービー。書斎の机上の雑事片づけ昼近くになり香港島東よりバスで沙田第一城。タクシーで沙田競馬場。ダービー当日としては一般席それなりに盛況だが会員席は閑散。中古カメラ商David Chan氏にはパドックでお会いしたが、DC氏はしっかりとメルセデス=ベンツ社のお得意様ご招待のメンバー席ダイニングで観戦の由。まったく擦りもしないまま第7レースの地場G1、Chairman's Trophy(芝1600m)に到る。12月の香港マイルでThe Dukeに頭差で2着のArmadaは1月末のStewards' Cup(地場G1)を勝ち今日も1.2倍のダントツ。二番人気のGood Ba Baを軸に二、三着狙いで我ながら馬券的には賢いところに打って出たらGood Ba Baが最後は半馬身差でArmadaを破り、それは良かったが三着に最近不調のJoyful Winnerが入り「これは外してたよ」で失敗。で第8レースの香港ダービー。レープロを見れば丁度過去10年のダービー馬はOriental Express(97年)から始まり、年月の経つ早さ感じ入る。
1997年 奔騰 愛倫 馬佳善 Oriental Express、Orixと勝手に呼んでいたが。
1998年 告魯夫 賓康 李格力 馬主は梁挺生校長 
1999年 聖利 愛倫 夏力信 まさかの三馬身差でぶっちぎりの穴馬
2000年 勝利名駒 苗?禮 霍達
2001年 實業先鋒 簡炳? 巫斯義
2002年 奧運精神 愛倫 馬偉昌 馬主はOrixと同じ榮智健
2003年 勝威旺 大衛希斯 巫斯義 美しく強い牝馬であった
2004年 幸運馬主 告東尼 高雅志 Lucky Owners
2005年 爪皇凌雨 霍利時 杜鵬志 Vengeance of Rain
2006年 爆冷 約翰摩亞 蘇銘倫 Viva Patacaで馬主はマカオのカジノ王・何鴻?(Stanley Ho)
で今年は今季7勝5勝のFloral Pegasusで決まり、という空気。ちょっと伏兵は昨年ついにダービー制覇のStanley Ho氏がViva Patacaに続き今年はマカオもラスベガス抜いて世界一のカジノ売上げの威勢かViva Macauという馬を連れ(笑)ダービー二連覇狙う。馬券的にはFloral PegasusぢゃツマラナイのでアタシはFloral Pegasus外しViva Macau軸に地味な馬三頭選び勝負に出たら、その「地味な馬」の一頭Vital King(活力金剛)がFloral Pegasusを鼻差で差して今年のダービー制覇。Floral Pegasus二着で三着(Champion Gallery)、四着(Able One)もアタシがViva Mcauから流した「地味な馬」。我ながら「よくぞ地味な馬を見立てて」と感心したが肝心のViva Macauが9着ぢゃどうしようもない。馬券は外したがアタシのすぐ横でこの「まさかの勝利」に歓喜するはVital Kingの馬主ご一行様。思わず35mmのズミクロンを着装したライカM6でアンリ=カルティエブレッソン卿のように決定的瞬間をカシャッ、カシャッと撮る。専業カメラマンたちは馬主席のスタンドに第四夫人と並んで観戦のStanley Ho氏ばかり望遠の一眼レフで狙っていたから、突然のまさかの結果にVital Kingの馬主が何処にいるのか、それどころか馬主が誰なのかもわからず、真剣に数名のカメラマンが馬主の横で歓喜の一瞬をライカでカシャッ、カシャッと撮影してたアタクシを茫然と眺めていたのが、ちょっとライカ的な快感。だがアタシは写真撮りに来たんぢゃなくて競馬しに来たのだから8レース迄で大火傷被り惨憺たる結果、満身創痍で残り2レースは馬券だけ買って晩は拙宅にランニング仲間のN君夫妻来ることになっていたのでさっさと帰途につく。が御仏のご加護か我が家に近くなり携帯で競馬口座の残高を見ると今日の始動資金よりちょっと増えている。慌てて結果見るとなんと最後の2レースで大火傷見事に回復するだけの勝ちを得ていた。競馬は楽しい。また来よう。晩にN君夫妻と、Z嬢の酒の肴で歓談。N君持参の玉乃光、利休で残り物だけど、といただいた「いいちこ」飲む。晩遅く「木村伊兵衛 昭和を写す」の3巻目「人物と舞台」の写真眺める、というか拝む。女優や歌舞伎役者ばかりか上方の寄席の下座三味線の林家とみ師匠なんて「久が原のT君のお祖母さま?」って感じ(笑)。木村伊兵衛の撮った役者というと六代目ばかりが有名だけど二世實川延若のきりりとした容姿もいいし河原崎長十郎が秀逸。木村伊兵衛の写真によって長十郎がいかに凄かったか、が歴史に残る、というもの。今日は競馬に行く途中とか『水曜日は狐の書評」日刊ゲンダイで長く続いた<狐>氏の八百字の書評集(ちくま文庫)を少し読む。<狐>氏はながく匿名であったが故・山村修氏だ、と公開される。リリー=フランキー、ナンシー関東海林さだお、といった「一流の亜流」に絶讃を惜しまない。共鳴しつつ「自分には書けない」と正直。印象的なのは『ススメ ススメ タバコノ ススメ』という反禁煙本についての痛切なる批判。禁煙のファシズムに対してアンチを唱えるのはいいが「喫煙は身体にいい」なんて教条主義なのが、いけない、と。「反喫煙派の健康幻想は、健康というものを身体的なことに特化してしまうところ」にあるのに、それを突かずに同じ「健康という土俵」にあがり、さらに文化なんて言葉で喫煙を正当化する。「文化などという言葉を使って何かを語るとき、人は恥じらいを覚えねばならない」とこの反禁煙派の本を「恥ずかしくないのか」とまで糾弾する。いくつか読んだ書評のなかで最も<狐>氏が感情的に綴る八百字。これを日刊ゲンダイで読んでいたとしたら、当時、この<狐>氏が『禁煙の愉しみ』を書いた山村修さんだとは誰も知らぬこと。
▼武蔵野のD君はその場にいたそうだが、昨晩、新宿ロフトで「王様は裸じゃないか!!」新宿から石原都政を倒そう!少数派総決起集会に浅野史郎氏が現われた由。ホームレス、在日外国人、HIV陽性者、セックスワーカー、同性愛者などの「石原に虐げられる側」の人たちの集会で浅野君は「今日の集まりは少数派の集まりというんで来ました。少数派ってことは、ここにいる人はみんな変わりものってことだよね。でも変わってるかよくないとか、多数派だからえらいってこともないので、十人十色がいいんじゃないですか」と語ったそう。D君曰く、都知事選の相手陣営にとっては「エロマンガ家のよびかけで、ホモのエイズ患者だの売春婦だのが集まった集会」は参加するだけでリスキー。「浅野は石原のオリンピック開催に向けた浄化作戦で追い詰められた二丁目のゲイバーや歌舞伎町の風俗店の支援を受けている」と言われるのも覚悟か、厚生省の元課長だと思うと、「よくぞ来た」という感じ。

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