富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月五日(月)通りがかりの車から見たのだが芸人・アーロン郭富城君が自宅マンション前の路上でカーキチらしく新しく届いた黒のFerrariか何かを自動車屋と眺めている。著名な芸人なのだから敢えて自宅前でこんなことしなくても、と一瞬思うが、やはり「見られてナンボ」の歌舞音曲の芸人というのは露出本性というか、見られることが快感なのか……。帰宅してドライマティーニ一杯。問題はベルモット。これほどドライマティーニが好きだがベルモットはほんと数滴なので一瓶が空になるのに一年近くかかり(そのあいだにジンが何本、空になるか、は別として)ベルモットは開栓して暫くするとかなり風味が飛んでしまうのが残念。小瓶のベルモットなんて売ってないかしら。キノコと豚肉の鍋。焼酎少し。料理研究家・辰巳芳子女史のドキュメンタリー番組をNHKで見る。料理が上手なのはわかるが「人は見えるところばかり気にする。見えないところが大切」「人間も下拵えが大事」とか説教多し。「人は人に教わろうとばかり思っている。(季節や自然などの)事実から教わる、ってことがわかっていない」と発言ぢたいは確かにそうかも知れないが他人に料理の仕方教えていてこの発言はあるまひに。ナンシー関先生が健在であったら何と突っ込んだか。辰巳女史の消しゴム版画もみたいところ(実際にあったかな?)。自宅で開催される料理教室でも、スープ作るのにまず芋を敷き人参を乗せ、と順番にやって見せ「なんでだかわかる?、あなた初めてでしょ」と参加者に尋ね「人参は硬いからですか?」という答えに「そうじゃないの」と否定して、その女性の「思い入れですか?」とかいう答えに「あらら、よけいそれじゃ間違い」と苦言して「みんな煮え方が違うからなの」って、最初の「人参が硬いから」つまり「よく火が通るように鍋の底にする」は正解なんじゃない?と疑問。これくらいの大家になると石原慎太郎とかと同じで何を言っても誰も口を挟まないのだろうが……。最近のテレビ番組でナレーションでもトーシローのコメントでも「元気をもらう」とか「命をくれる」という受給表現が聞いていて不快。食後、バンコクのY氏にもらった京都の「おたべ」の生八ツ橋の「黒」頬張る。土曜日からの新聞たまったのをざっと読み(といっても日に4紙であるからかなりの量)連夜になるが西湾河のカメラマンY氏にいただいたライカ本続けて読む。『M型ライカ』(世界文化社刊)を読んでいて思ったが、だいたいどの本にもライカについては似たり寄ったりの「神話のような物語」多し。だがそれでもライカ本が出版され読む人がいるのだからライカが凄いと言えば凄いのだが我も含めよくぞみんな飽きないもの。それでも「ライカを持っておらずに読む」のと「ライカが手許にあって読む」のでは精神的にはかなり差異あり。後者こそオヤジの特権なのだろうがチョートク先生がアサヒカメラに書いていた通り老妻に「あら、なんかライカのカメラの数が増えていない?」と言われるようになってこそ本当のライカオヤジか。チョートク先生といえばこれだけライカ本を読んでわかったが田中長徳という人は、やはりあの饒舌の文章で、やはり誰も書いていないライカならライカR-D1ならR-D1Ricoh GR DigitalならGR Digitalの、素人が知って「なるほど」と納得するカメラの、撮影のコツを書いてしまうところが凄い。このチョートク先生自身が60年代初頭のズミルックス35mmレンズみたいなクセ玉。カメラの本は読むとさっさと読めるので(というか知っていて端折る部分が多いのだが)同じくY氏にいただいた『カメラマンのバッグの中身』(グリーンアロー出版)も読む。日本の名だたるカメラマンで意外とニコンが少なくキャノンが多いことに「へえ」と思う。「へえ」と思っただけなのだが。ちなみにアタクシのカメラバッグはビリンガムのHadleyにライカM6はズミルックスの50mm/f2.0、Epson R-D1sにエルマリート28mm/f2.8、隠し撮り用にContax U4Rで、ジャケットのポケットにはRicoh GR Digitalと、こう書くと器材だけ、はチョートク派の流れ鴨。
▼仙台の河北新報より。浅野史郎氏が仙台の仙台コリアプラザで開催された韓国観光名誉広報大使の委嘱式に出席。石原都知事との外交スタンスの違い問われ「近くの国の悪口が目立つ。非常によくない」と批判し「立場がどうあれ、国民ベースの友情を深める役割を果たしたい。アジアの一員であることを忘れず、『世界の東京』として品格ある都市を目指す」と強調。現任都知事は「いくつかの発言で、近隣諸国の誇りを傷つけている」と指摘し「アジアの人々が来たくなる都市の雰囲気を醸し出さなければならない」と述べる。ところで共産党の独自候補擁立断念がカギとアタシは思ったが寧ろ共産党と距離を置くことで共産党アレルギーな中道票の獲得には有利、という見方も聞く。

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