富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-03-02

三月初二(金)。晴。晩にようやく「利休」さんからいただいた糠床に漬けた胡瓜、茄子と人参を頬張る。いい感じで漬かる。NHKドキュメント72時間「東京山谷バックパッカーたちのTokyo」なる番組見る。秋葉原のゲームセンターで遊ぶ蘇格蘭人が“Fucking! I lost the game!”と、確かに日本語に訳せば「負けちゃったよ」程度なのだろうが英語圏だと通常ピーッと音の消させるfuckingがNHKでは堂々と流れた。また山谷の木賃宿の部屋の鍵なくした朝帰りの青年がリュックを逆さまにしリュックの中身が机の上にバザーッと出たところで最後にコンドームがポロリ、と。青年は慌ててコンドームだけ隠したが。お笑いならいいが好意的に番組に出演した青年のハプニング、なら編集してカットしてもいいような気もするのだが。Fuckingにせよコンドームにせよ番組の制作が杜撰なのではないかしら。晩に日本カメラ社の“EPSON R-D1 WORLD”と銀座松屋のカメラ市で買った「クラシックカメラプライスガイド2007」M型ライカ&レンズ特集を眺める。最近カメラ関係の雑誌などばかり。
三遊亭円楽引退。朝日で円楽師匠のインタビューあり書き手(篠崎弘編集委員)が、寸分の狂いもない芸で知られ、ただ一度の絶句で引退した文楽と、大病から復帰し、噺を間違えてもそれを笑いにつなげた志ん生。ろれつが回らなくても、志ん生のような芸風でなら落語は続けれるのでは?という問いに円楽曰く「あたしは残念ですが文楽師匠の方なんですねえ。志ん生さんは天狗連上がりだから、あの破格の口調だった。最初から稽古したあたしたちのような噺家には、あの口調はできません」ときっぱり(天狗連とは落語好きの素人らのこと)。円楽さんが自分を文楽師匠の方、というが、あたしは文楽圓生という名人らの「笑わない」芸風に比べ、どうも「笑点」出身の人たちが苦手。
教育基本法について。教育基本法昨年十二月に年末のドサクサの内に改定され今ではもはや何事もなかったかの如し。で文部科学省のサイトでの変遷、でこの教育基本法について話をさせていただくが、もともと驚いたことに数年前に確かめたところ文部科学省のサイト内に、この省の根本理念たるべき教育基本法が掲載なし。それでいて教育基本法改正に向けた中教審の審議記録は公開されており「片手落ち」と思え文科省の広報部署に「教育基本法改定に向けようが向けまいが現行法は掲載されるべきではないか?」と指摘したが暖簾に腕押し。で暫くすると改定気運高まりサイト内に「教育基本法資料室」というPRサイト新設される。がこのサイトも改定前はトップページからリンクがあったが今では改定後役目終えたらしく直接この資料室に行きづらい。が見づらいところに、ではあるが、現行の新しい教育基本法については条文の掲載あり(こちら)。かつての基本法はなかったのに新法はある、ということでいかに文部科学省が偏向しているか、は明らか。それにしても改定なされた今になってこの「資料室」など見ても馬鹿馬鹿しいだけだが例えば、なぜ今、改定なのか?の参考資料として「昭和22年教育基本法制定当時と現在の社会状況変化に関する各種データ」などというのもあり。これだけ教育をめぐり世の中が変わったのだから教育基本法も変えるべき、という主張の裏付けのため、だろうが、法律基礎知識もない自民党のオトーサンや「明治二十年からの革新を伝統と誤解する」人たちは法律の基本知識もないから普遍法の概念や「法が理念を謳うかぎり現状の国政や世相に左右されない」という常識もなく、だからこんな陳腐なデータをもとに教育基本法の改正の必要を訴えたのだった。……いずれにせよ改訂されたのだから負け犬の遠吠えかもしれないが。
▼唯靈氏が信報の連載随筆で「満漢全席」の誤謬につき記述あり。日本のマスコミ関係の友人に「香港で満漢全席を食すには何処がいいか?」と尋ねられた、と書き起こし唯靈氏曰く抑も「満漢全席」なるものは存在せず。「満漢全筵」とは清朝の宮廷でのImperial Banquetの総称のつもりなのだろうが、清の宮廷料理に「満席」つまり清朝の出自たる満州料理の通し料理と「漢席」いわゆる支那料理はあっても「満漢席」はない、という。

富柏村サイト
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/