富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-03-01

三月朔日。精神衛生上不愉快なことあり。ヤクが必要になり合法的麻薬であるタバコ一箱求め一服。タバコのばら売りがあったのはフィリピンだったか中国だったか。なんでタバコが合法で大麻程度が非合法なのか、とかねがね疑問。晩遅く荒木経惟『東京人生』眺める。アラーキーの写真はあまり好きではな、と思っていたが、こうして眺めていると、圧巻。やはりアラーキーしか撮れない凄い写真がいくつも。ただ実母や妻の死に顔の写真は「禁じ手」じゃないかしら。だがとてもアラーキー以外では撮れないし、久世光彦の葬儀での樹木希林の合掌する手とは……。それにしてもこの『東京人生』の1,500円はバジリコなる出版社、売れると見て、なのだろうが1,500円じゃロクな新刊書の買えぬ時代に見事。
▼今週の上海を発端とした株価暴落につき信報の曹仁超「投資者日記」が「環球跌市非Made in China」と題して語るに、今回の世界的株価下降の原因は中国とされているが、実際には大陸はまだまだ隔絶された証券市場であり株価上落は地場の原因要素が高く国際的な投資家の影響は小さく、今回の上海株の暴落は一時的な株価の技術的な調整である、と見る。
▼劉健威氏が数日前の信報の連載随筆で「食店用語」を書いている。食肆での言葉遣いについて。例えば大陸で食中に給仕が「白飯をお持ちしますか?」は「添不添飯?」なのだが香港では十中八九「要不要飯?」。広東人の語感が北方とは異なる点もある、としつつ劉兄は今後国内からの旅行者など増えること思えば常識的に丁寧な物言いであるべき、と。また他に気になるのは料理屋で誕生日の宴会などすると食後に肆より免費で供される縁起物の桃をかたどった甘味の饅頭。「壽包」と呼ばれるが、これは元来は「壽桃」。壽包とは戦前なら葬儀のあとの解穢酒(お清めの宴会)で「穢れおとし」にで今後の多幸祈り供した口直しが「壽包」。広州のある酒家で祝言の際に給仕が食後に「壽桃」を運んだ際に、誤って「請用壽包」と言ってしまい大顰蹙をかい料理屋は支配人が低頭で宴会の費用全免で詫びた、と。また給仕が料理を卓に置きながら「これは乾炒牛河で」などと言うのも、本来は料理に唾きがかからぬよう料理や恭しく運び皿を卓に置いら数歩退き「乾炒牛河でございます」というのが本来の礼儀と。御意。もはやこのような気品もまことに昔の話となる。

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