富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

二月晦日。政府の新年度予算案発表。好景気による法人税所得の伸び反映し政府の財政も改善あり所得税は02/03年水準まで引き下げ(税率は16%くらいだろうか)何より好事は酒税見直しでアルコール度数30度以下の場合、税率は現行の40%から20%に引き下げられ(つまりウイスキーやスピリッツは対象外、だが日本酒は恩恵ありか)、そして吉報は悪名名高き香港のワイン酒税が現行の80%!から40%に軽減され、これは財務官・唐英年君がワイン党であるから、という噂もあるが、現在300ドルの葡萄酒が230ドルになるのは嬉しいところ。香港政府は財政と税制について日本に比べたらかなり真面目で財政改善されれば減税、消費税導入なら所得税減税、と対応は立派。ただただ盲従的に増税、に非ず。午後に一つ高座での与太話を済ませ早晩に一旦帰宅。ドライマティーニ一杯。Z嬢と北角で待ち合せ和富道の勝利小厨に海南鶏飯など食す。ついHK$8追加料金で脾肉で注文してしまったが、この店の海南鶏飯の場合、普通のほうがずっと「滑」で美味。店に貼り出された雑誌での紹介記事を読むと、この店、もともと旺角の(タクシー運転手の食堂と呼ばれる)小食堂並ぶ勝利道で牛?を出す食肆であったが近所の店との競合で新機軸にタイ式の海南鶏飯を始めると、これが好評で一躍有名になった由。
▼東京都日野市の教員が99年に入学式での君が代伴奏を拒み戒告処分受け東京都教育委員会相手取り処分取り消し求めた裁判で最高裁は「伴奏を命じた校長の職務命令は、思想・良心の自由を保障する憲法19条に反しない」として上告破棄。何が驚いたか、といえば最高裁小法廷で5人の裁判官のうち1人から「君が代斉唱の強制自体に強く反対する信念を抱く者に、公的儀式での斉唱への協力を強制することが、当人の信念そのものへの直接的抑圧となることは明白」として審理の高裁へ差し戻すべき、と反対意見があり、その良識示した裁判官が藤田宙靖君であること。藤田君といえば我が日剰に何度か登場する、おそらく唯一の裁判官。頁捲るだけでも「疑わしきは罰する」で東電OL殺人事件で被疑者に無期懲役確定したのがこの人。そしてジャニー喜多川さんが週刊文春のホモセクハラ記事を名誉毀損と訴えた訴訟は最高裁での裁判長がこの人。「セクハラの記事の重要部分は真実だが、『飲酒、喫煙をさせている』などの記述は真実でなく名誉棄損」ということで文春側に120万円の賠償金支払いを命ず(一審では880万円)。氏の少年セクハラという本来裁かれるべき「戦後の一つの巨大な闇」が「未成年への酒、タバコを勧めた、ことが事実かどうか」という枝葉の問題に据え置かれての迷判決。もともと東北大学行政法を専門にしていた地味な学究の徒。その御仁が政府自民党の大学機構改革(独立行政法人化)に与したことで最高裁判事への道が開かれた、という人もあり。その人が今回のこの反対意見とは。
東京都知事選に浅野史郎氏が立候補の意志固めた由。これでも石原再選となったら、もうお終い。活力ある東京、強い日本だかなんだか知らぬが、オバサンだの障害者だの社会的マイノリティや外国人が差別される東京、都知事がまともに登庁せず接待交際費に海外出張手当浪費で息子にギャラ払っても許すのなら、あたしゃ本当に都民とはもう絶縁だよ。2000年にブッシュが米国総統に「選挙で選ばれて」からブッシュ在任中は絶対に米国には足を踏み入れぬ、と決めたが石原再選となったらホントなら東京には足を踏み入れず、としたいところ。選挙のカギはまず日本共産党共産党が独自候補擁立を取りやめぬと反石原票が全て死に票に。そして何より公明党支持者の良識。党の「なにがなんでも与党シンドローム」に与するか、自らの良識を票にするか、の判断。それにしても石原落選は本人にとっても自民党にとっても末代までの恥となるから、こりゃ総力戦。公示前に形勢不利となったら自民党は(そもそも石原を「公認」ではないのなら)最後の切り札で小泉三世の擁立とか(笑)。だが、ふと思えば、石原慎太郎都知事に選んだことで、あたしゃかなり都民に罵声を浴びせたが、石原君を都知事に据えてくれたことが石原首相待望論(って本人がそう待望したのだろうが)抑え石原首相実現がならなかった直接的原因と思えば、石原君を都知事にした都民のそれは良識であったのかも、とふと思う。

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