富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

二月廿六日(月)晴。晩にHappy Valleyの寿司「澄」で宴会あり末席を汚す。宴会料理も悪くはないがやはりこの店はK氏の握る寿司に限る。寿司といえば先日、築地の寿司清本店で、味噌汁が供されていた。寿司屋で味噌汁というのはどうも苦手。むかしからあっただろうか。寿司など花街遊びのまえにちょっと小腹落ち着かせる、屋台での今ならさしづめファーストフードだと思えば、味噌汁などあるはずもなく、だいたい魚と酢飯の味覚に、あの味噌臭さが合うとはとても思えない。おそらく北陸だか北海道で寿司屋が魚のアラだので雑に汁をこさえ、それが味噌仕立てであったものが美味く、それが各地に伝染したのではないかしら。その地で美味いのはいいが、例えば「るいべ」とか、北海道なら鮭の寿司もまだ許せるが、世界的に(とくに熱帯で)サーモンが寿司になることがヘンで、「寿司屋の味噌汁」も築地とか海外でまで普及していることが厭なのだ。それも「アラ汁」とか「潮汁」とか、漁師町じゃないんだから……。寿司屋で口から魚のアラの小骨を出しているなんて、ほんとみっともない話。基本的に寿司屋というのは銀座の九兵衛とか、いい寿司屋とか行くとわかるが本来、基本的に「無臭」であるべきなのだ。そしてカウンターなど水々しくなく、乾いた世界。においといっても、せいぜい玉子を焼いたり穴子のために「ツメ」を煮るくらいで、それも本来は店を開ける前の下仕事であるべきで、そのような空間に「味噌汁臭さ」がどうも所帯っぽくっていけない、と思う。何年ぶりか、で香港の日系某活字媒体より執筆の依頼あり。ちょっと書いてみる。

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