富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-02-06

二月六日(火)かなり暖か。旧正月を前に春の訪れか、と喜ぶよりも地球温暖化か、と深刻。人に比べかなり寒がりだが老いの所為もありこの冬は厚着。それでも今日はセーターを脱ぎチョッキとなり薄手のコートも朝、着ては出たが汗ばむほどの陽気にコートも羽織っておれず。香港では日本から植樹の桜がもう咲く。早晩にジムに急ぐ途中、湾仔春園街の楊春雷に通ればいつも涼茶服すが「1ドル足りないよ」と言われ今月朔日よりHK$1値上げの由。好景気でインフレか。ジムで百年ぶりに一時間の筋力運動。手帖捲ると実に昨年十月朔日以来。体調どうにか復旧。喉痛もなく、つい調子に乗りトレッドミルで5kmだけ走る。走りながらモニタで晩のニュースを眺めると、ニュース番組の前にお決まりの国歌(義勇軍行進曲)の演奏あり。起来! 不願做奴隷的人們!「起て! 奴隷となることを望まぬ人々よ!」って原意は封建主義的搾取、帝国主義的侵略への抵抗なのだが、ふと思ったのだが一党独裁の自由も制約される国家だと、まるで現行の国家権力に対して「立ち上がれ!」と聞こえなくもなし。そういう意味では革命歌は「君が代」などに比べると面白い。帰宅してドライマティーニ。豚汁と紅豆の炊込みご飯で菊正宗。食後にジャックダニエル。酒の量からすれば体調が戻る。晩のNHKのNW9見ておれば柳沢厚相がまた失言、と柳沢某の「若い人たちは結婚したい、子供を2人以上持ちたいという(希望を持つ)きわめて健全な状況にいる」を番組冒頭で取り上げるが司会の会津の男柳沢君は(厚相と同性の誼みか)「波紋を投げかけています」と一言、で次のニュース。でこの番組の特徴で、詐欺だ殺人だ、の社会事件はながながと取上げる。日本のニュースのこのテの報道で面白いのは「怖いですね」「心配で街中も歩けません」といった「市民の声」いくつも流すこと。詐欺事件や飛び込み自殺などいくら報道しても詐欺は減らぬし(寧ろ報道すれば報道するほど増えるか)、「怖いですね」なんて市民の声は流して流さなくても一緒。学習院大学の近くで「暴力団の抗争か、また流れ弾が建物に」など付近の小学校では集団下校、は不安だろうが「もし学習院に通う宮様にもしものことがあったら」所轄の警察署はどう対応するのでしょうか?、でも取り上げるのでなければ、本当の意味では面白くない。柳沢失言は「波紋を投げかけ」の一言なのに柳沢キャスターは社会事件となると「本当にこんな悲劇が繰り返されることに……」だの感情的に多言になるのは言う迄もなし。六カ国協議について来日中のアメリカのハル国務次官補に「私が」インタビューしました、の一言に思わず笑う。その「私が」強調したインタビューだが英語でハル国務次官補に問い掛けこそするものの全く会話になっておらぬブツ切り。明後日だかからは「私が北京に乗り込み中継で……」と、この人、必要以上に「私が」「私が」と、まるで佐々淳行。NW9のあとテレビを消すのを忘れると火曜日が怖いのはNHK歌謡コンサートが始まってしまい思い切り演歌の世界。前川清の「東京砂漠」である。Aメロの暗さ、がキョービの大都会のなかで独り寂しさ、なのだが有名な強引なサビの(って、この曲ほどAメロとサビの流れの悪い曲も珍しい)
あなたの傍で ああ 暮らせるならば つらくはないわ この東京砂漠 あなたがいれば ああ うつむかないで 歩いていける この東京砂漠
という歌詞を、「あなた」を「石原慎太郎」だと思って聞く。

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