富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-02-02

二月二日(金)晴。昨日「自称政治家」Sir Donald君が正式に香港特区行政長官選挙に立候補。「我會做好??工」だの“I'll get the job done well”と勤勉ぶり強調するが「自称政治家」と揶揄されるのは、05年に董建華君「脚痛を理由に」行政長官辞任で棚から牡丹餅で行政長官職に就くことになったSIr Donald、董君から彼の辞任と行政長官職禅譲を伝えるために呼び出された際に意気揚々と口笛吹きながら政府庁舎に入り、而も奏でていた曲が義勇軍行進曲。形ばかりのその05年の「選挙」では、そのあまりに平凡さが首長職務まるのか?と思われていたが立候補届けの職業欄に自ら「政治家」と書き込み唖然。実はこの人、自意識過剰。そういえば財務官時代にAPECだかに香港代表で出席し江沢民国家主席に並んで坐り横柄ぶりもさることながら歓迎会食会だかの席で隣の江沢民君に自らのナプキン差し出してサインしてくれと請うた逸話もあり。いずれにせよ小心的な小市民のようでいて尋常ならぬ人物であることだけは確か。早晩にFCCハイボール二杯飲み中環に下るとそのSir Donaldに選挙で挑む民主派統一候補の梁家傑氏が街頭で選挙運動中。通りがかりの人で賛同示す投票用紙にサインして投票箱に入れたり梁氏本人と握手したり「頑張って」と声かける市民少なからず。模擬投票してみせるのは行政長官選挙が選挙人による投票制度で市民に直接の投票権がないため民意示すため。帰宅してカレーライス食す。NHKニュース眺めていると日本では柳澤厚相失言で国会空転続く。野党はこの時ぞとばかり自民党批判に躍起だが本当に柳澤君の発言を「人間の尊厳が蹂躙され……」と思っている気持ちと、この期に自民党を追い込もういう目論見の果たしてどちらが本音なのか。衆院予算委で野党が質疑時間になっても登院せぬと委員長(自民)は「質疑者の出席をいたさせますので暫くお待ちください」と何だか言葉も謙譲語と使役がごちゃごちゃ。結局、自公の与党単独で審議通し晩の本会議も与党単独で修正予算案可決。つまり柳澤某が何だか発言しようとしまいと野党が審議拒否しようと国会で自公で過半数=何でもできる信託を与えられているのだから。
▼昨日綴った李登輝センセイの「台独なんて言ってません」発言。今日の蘋果日報朝日新聞李登輝前総統が台湾独立の主張から一転しての慎重論は台湾の台独派震撼、李登輝先生の狙いは次なる総統選挙への影響力確保か、中国との関係改善か、中国側の李登輝先生への訪中要請など絡み……と憶測様々。あたしゃどうしても李登輝センセイが、「台湾はすでに独立した主権国家体」という、台湾の現実認識を語ってみせただけのことで、それを聞いて台独派、国民党、中国が右往左往する態を眺めてニンマリ、としか思えない。台独派は震撼、国民党は李発言を否定できないジレンマ、中国は台独否定は表面的に歓迎すべきだがアイデンティティの共有できぬことへの苛立ち……と。ほとんど後白河法皇的な院政の愉しみ、か。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/