富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-02-01

二月朔日(木)晴。安倍内閣メルマガは「出来難き事を好んで之を勤るの心」と福沢諭吉の言葉を題に
安倍晋三君!」場内に響く議長の声を受け、私は、本会議場の壇上に立ちました。議員席を埋め尽くした議員たちの真剣なまなざしを見渡し、緊張とともに闘志がわいてくるのを感じました。
柳澤厚相のご発言についての釈明すら当然のようにメルマガには皆無。毎週木曜朝に発信したところで所詮、美辞麗句ばかりの拙い感動作文ではタイムリーに読む価値もなし。だが考え方によっては「出来難き事を好んで之を勤るの心」というのも「柳澤君退任させず敢えて野党ばかりか自党内からの反発すら受けて立ち……」の意か、と察せられなくもなし。本日、ガラガラ声で一日を過す。羽仁未央さんに黄大門のパーティにお誘いいただいたが晩も薮用で行けず(といってもこの声じゃ人に会うのも失礼)。アサヒカメラ二月号読む。田中長徳氏がライカM8とR-D1s徹底比較。実際の撮り比べを見てみると、さすがライカでM8の隅々までの描写力の精緻さは見事。それでもR-D1sライカM8より「25〜30万円も安い」ぶん落ちるか、と言えば、さに非ず。独特の絵心、発色の面白さ(これはあたしの撮った画像でも幾分かは証明されているかしら)。結局はチョートク先生の、あの饒舌なくどい言い回しで結局は「理想的なRFデジタル道はM8とR-D1sを両方持つことだ」と(笑)。誰が二十数万円と50万円台のレンジファインダーのデジカメを二台も持つか……馬鹿馬鹿しい話だが、それをマジに考えてしまうところがオジサンたちの怖いところ。もし資金があってもデジカメの本体に50万円はあたしなら費やそうと思わないが。
▼香港は行政長官「自称政治家」Sir Donald君が本日、7月からの任期の行政長官選挙に立候補表明。続投の由。当選したら所得税減税を確約。選挙公約で減税は珍しくない公約だろうが、戯院内閣制ならまだしも、香港の行政長官の場合、税制も自らの意思決定の匙加減一つ、で財務官が発表すれば即刻有効が術。ということはSir Donaldが当選=所得税減税なわけでSir Donaldに生理的嫌悪のあたくしだって投票権あれば思わずSir Donaldに一票入れてしまうかも。というわけで香港の場合、現任行政長官が選挙でいかに有利か、まざまざと思わされる。
▼先日、William?智達君が中環のFour Seasons Hotelにある日本料理「稲菊」について店に入ったところからかなり凝った内装に圧巻されるに始まり懐石料理誉めていたと思えば今日の信報では唯靈氏も「懐石新風」とこの四季酒店の稲菊について言及。もともと半蔵門の天麩羅供す料理屋(厳密な天麩羅屋とは一線を画す)で海外進出に積極的で各地の一流ホテルに出店あり。香港には八十年代にペニンスラホテルに店を開いたがホテル改装で撤退。四、五年前に尖沙咀東のRoyal Garden Hotelに再臨。天麩羅を主に供し香港の天麩羅専門「あげ半」のライバル出現か?と思われたが「稲ぎく」は東京の店も外国人御用達であるように不思議と香港の店も日本人からは評判も聞かず余も訪れたことなし。その稲菊がFour Seasons Hotelの高層階からビクトリアハーバー見下ろす絶景でにかなり凝った内装の店を出して懐石を供す、と言う。ただ唯靈氏、これまでの稲菊の香港での展開などかなり詳細に渡り説いておいて、この新店を「不落俗套」と「古い仕来りには囚われていない」程度に誉めるだけでインテリア以外に言及せず、あとはこれまでの唯靈先生の食の経験のなかでの懐石の思い出語るばかり。余もなぜ訪れてもいない店のことをこれほど綴るかと言うと、おそらく今後も訪れないであろうから、なのだが。
金正日将軍様の御子息金正男氏がマカオに滞在中という報道はここ2日ほど日本の新聞でも見られたが本日のSCMP紙は一歩踏み込み一面トップで“Kim Jong-il's son makes Macau his home”と実は三年ほど前より正男君がマカオの高級ホテルに家族同伴で長期滞在で実質的に定住、と報じる。
▼台湾の李登輝先生先月末の蘋果日報(台湾版)の取材に答え「私は台湾独立派でもないし、これまで台湾独立などと主張したこともない」と。台湾のゴッドファーザーが変節か?と一瞬驚くが李登輝先生曰く「独立など標榜する必要なし。なぜなら台湾は事実上、一つの独立した主権国家なのだから」と。これぢゃ台湾独立の主張よりタチが悪い(笑)。「台湾独立を叫ぶことは退歩的で危険な考え方なのは、台独の主張が台湾をまだ独立していない国家、と云わば降格してしまうからで台湾の主体性を傷つけ米国や大陸に様々な問題を投じる」と言う。自らは「両国論」を唱えたことはなく台湾と中国は「特殊な両国関係にある」もので台湾独立ではない、とする。すでに独立した国家として、問題はむしろいかに国家として正常となるか、が李登輝先生にとっての最大関心事の由。この発想、わたしなど台湾独立論より中国にとっては寧ろもっとタチが悪いと思うのだが、この発言を台独派は李登輝先生の変節、と遺憾の意を表し、寧ろ国民党の馬英九君がこの発想はすでに五、六年前に提唱されていたもので台湾が事実上は独立した主権をもつ実体であることは(台湾が独立するか大陸と統合されるかは別問題として)既成事実と肯定的に評す。ほとんど禅問答の如し。

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