富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-01-26

一月廿六日(金)早晩に中環。皮膚科専門のA医師の診断を請い帯状疱疹の経過観察。疱疹ぢたいは快方に向うが疲労感などまだあり。おまけに風邪気味。FCCハイボール二杯飲み帰宅。鮭のアラ汁。NHKのNW9で奇妙な表現あり。六年前にJR新大久保駅で人命救助に挑み亡くなった韓国人青年について「当時、韓国人留学生だった李秀賢(イ・スヒョン)さん」だの欧州で盗難された高級車が日本へという特集で「ヨーロッパで盗まれた外車が」だの、と。観点の軸が狂ってないかしら。「モンテクリスト伯」の続き読む。
▼一昨日の信報の文化欄に今月六日観劇の、梅蘭芳京劇團の若手女形、胡文閣のインタビュー記事あり。梅派こそ女形が演じることで京劇の最高水準であると自讃する胡文閣はもともと男性ソプラノ(ソプラニスタ)の歌い手。坂東玉三郎の知遇を得、大和屋の紹介で(!)梅葆玖の門を敲き2001年より梅葆玖に師事。目下、梅葆玖のたった一人の女形の継承者。歌唱家の時に比べ収入も一晩の舞台で数百元と激減したが京劇の梅派にて女形の藝を継承するために毎日の鍛練の日々も悔いはなし、と胡文閣。その胡文閣が女形の面子で許せぬのが中国で若手女方役者として人気の李玉剛の存在。李玉剛は中央電視台の演芸番組「星光大道」で女形として登場、「霸王別姫」の男、女の旋律を一人二声で歌い上げ現代風な「新京劇」と称し当代一の女形としてテレビなどで活躍。陳凱歌監督が李玉剛主演に「梅蘭芳」の映画制作だとか。この李玉剛に対して胡文閣は「要破舊立新必須在舊基礎上有很深的造詣、一天京劇都没學過的人、憑什麼要改造??胡説八道!」と基礎も足りず伝統芸能の修業もせず新京劇などと称す李玉剛の仕業、と梅派継承をと勉める女形の意地で容赦なき批判。李玉剛は梅派で胡文閣の弟子では?という質問をきっぱりと否定。内地のテレビ局が胡文閣と李玉剛の美しさ競う女形PK合戦(笑)企画のことなども胡の逆鱗に触れた由。そもそも梅派女形の正統なる継承者自認する胡文適にとって李玉剛以前にレスリー張國榮が映画『霸王別姫』で虞姫演じたが、あれこそ梅蘭芳の侮辱、と。「あたしこそ梅蘭芳の正統なる継承者」との自負か。
▼昨日今日の信報に前新華社香港分社副秘書長の何銘思氏による「達徳學院與共和國的誕生」という連載あり。終戦後のわずか数年、香港に達徳學院という学舎あり。日本の敗戦で中国から日本軍が去り北京は束の間の平和、で国民党の白色テロ横行。北京のリベラル派知識人ら北京を離れ来港。郭沫若、茅盾、譚平山といった人ら。香港で中国民主化運動画策し、その拠点となったのが屯門の達徳學院。現在は中華基督教何福堂書院で、敷地内に達徳學院の馬禮遜(Morrison)樓が現存。国民党の暴挙に反対し蒋介石の国民党主席からの失脚では香港の華字紙に祝賀広告載せるほどの勢いあり。中国共産党は革命成功に改革派知識人の協力を重視、毛沢東自らが達徳派知識人に革命への協力求め(当然、周恩来が活躍し)政治協商会議の主だったメンバーとして彼らを招き入れる。人民共和国建国当時は共産党独裁よりも協商会議など改革派資本家、知識人、少数民族など全体が一致した民主国家建設が主題。革命の夢多き美しき時代。その後、この達徳派文化人が反右派闘争や文革でどのような境遇に陥るか、は語るまでもなし。

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