富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-01-24

一月廿四日(水)早晩に中環。カメラを持っているとHollywood Rdの画廊もPottinger Stの古い石畳もいちいち足を止めたくなる。Colorsixで写真現像受取。三聯書店。Page One書店。FCCジャックダニエルソーダ割り二杯。晩遅く沈從文の『邊城』読む。
一個天真無邪的女孩,一對手足情深的兄弟,交織成含蓄而浪漫的?情故事。翠翠與爺爺相依為命,以?渡船為生。十多?的翠翠認識了碼頭總管的兩名兒子 ― 俊秀挺拔的儺送二老與豪放豁達的天保大老。兄弟同時愛上翠翠,議決輪流唱山歌競取芳心。唱歌首?,大老自知技不如人,毅然引退,下河去了,不料,在茨灘淹死。二老把事件歸咎於爺爺拿不定主意,一氣之下出走。爺爺不久病逝,剩下翠翠日夜?望心中的二老回來。
という物語。1930年代に敢えて革命文学に揉まれず湘西鳳凰県の少女と二人の兄弟の恋愛悲劇。少女・翠翠が主人公。これを天保と儺送の兄弟二人が主人公なら中上健次の物語にもなろう、というもの。ところで物語のなかに「美孚油」という言葉あり。石油のことで、はたと膝を打ち半世紀ほど前の香港市街図を見れば確かに今の美孚に石油庫があり、ここがMobil石油。その跡地が今の美孚の団地。シェル石油が北角で、モービル石油が美孚。しかも美孚に九龍バス会社の本社、車庫があることも、偶然よかガソリン供給と関係あったのではないか……などと夜な夜な想像ばかり。
▼昨日の朝日新聞加藤周一夕陽妄語」で「超楽天主義のすすめ」という、もう加藤先生も平成の喜劇的悲劇な政治状況で楽天主義の勧め。まず「たくさんの希望(のぞみ)を持つこと」。そして「行く先のはっきりしない大事については、初めから最悪の結果を予想する」こと。もし幸いにして自分の予測が外れるなら=最悪の事態が避けられたこと。不幸にして最悪なる予測が当たったら、せめて自分自身は「トロイの滅亡を警告したカッサンドラの知的自負をもって自らを慰めることができる」と。だが何よりも「何とか細々と、時には冗談なども交えながら、根本的な思考の軸は変えない。それが大事だ」との言葉は大切。肝に銘じる。

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