富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-01-22

一月廿二日(月)右の写真は蘇州の金鶏湖。蘇州に住まうI君が早朝ジョギングで撮影。Le Lac du Coq d'Or とはさすが蘇州な表現。「フジテレビ」の報道2001世論調査で阿部内閣不支持(48.0%)が支持(41.2%)上回る。早すぎはしないか。こんなことでは我々日本国民の悲願である憲法改正なされる前に安倍退陣となってしまう。鹿児島の知人が送ってきてくれた菓子箱の中に意図的なのか偶然なのか不二家のミルクキャンディーあり。「これが一生で最後かも」と子どもの頃に慣れ親しんだ味のキャンディー舐める。帯状疱疹で右腕に痛みあり憂鬱。夕方、総領事館で「印鑑証明」を申請。手数料1通につきHK$121は郷里の市政府が350円なのに対して1,800円とは……別に日本で登録してあり電信扱いで証明を取り寄せるわけでもなし。面白いのが印鑑証明の申請書の住所の記載。「日本式に」と<見本>で
香港 タイクーシン ハーバーガーデン シルバーオークマンション 35階8室
のような書き方であり、香港の住所(英文か中文が正式)を勝手にカナ書きして何の法的根拠があろうか?、「億の単位の遺産相続」など考えると怖いものもあり。でいずれにせよ「そういうふうに書く」のだろうから、とそれに從うと、職員に「登録の住所と違いますよ」と指摘され、確か昨年に登録して転居しておらぬはず、と訝しいが、登録住所見たらカナ書きなどせず「住所」とあったので英語より中文のほうが「馴染むか」程度の判断で、この例に則して綴れば
香港太古城海景花園銀柏閣35階8室
のように記載していたわけ。この中文の住所表記が
Room 8, 25/F, Silver Court Mansion, Harbour View Gardens, Taikoo Shing, Hong Kong
と同一であることは法的に証明できるのだが、カナ書きで、しかも太古城が「タイクーシン」なのか「タイクウシン」なのか、Silverは「シルヴァー」でもいいのか、となると、全く個人の判断という恣意的なもの。それで「億の単位の遺産相続」の場合でも在留証明や印鑑証明がなされていると思うと……。住所表記は「香港の地所登録で有効な英文又は中文での表記」に「便宜上、カナ書き等を添えることも可」としておくくらいが無難だと思うのだが。ちょっと飲んで帰るのもジムも憚られさっさと帰宅。NHKの7時のニュース(香港時間午後6時)なんて見る。晩飯はカレーライス。一昨日、石崗??を食してはいるが印度カリーと日本のカレーライスは「リゾットとお茶漬け」くらい違うもの。
▼宮崎県知事にそのまんま東氏当選。そのまんま氏の当選への驚きより具体的に(朝日の調査では)共産党支持の4割、公明党支持の3割が今回の選挙では党を裏切りそのまんま氏に投票。共産、公明という「党中央の指導」強きはずの政党でこれでは政党離れはより具体的。そのまんま氏の宮崎県知事当選に安倍三世曰く「地方選挙ですから地方の判断でしょう」「参議院は国政選挙ですからわれわれが示す日本のあり方にむけて判断がされるわけで」だったか、と宣う。この「突き放したような感じ」や「われわれが示すもの」の空虚さに期待(期待、って安倍政権崩壊を、だが)。それにしてもニュース報道もいい加減で7時のニュースではそのまんま氏当選に宮崎県民の声は期待と不安が半々、であったのがNW9では四、五人の宮崎県民が全員「期待」であった。ニュースなど見て物事を信じてなどおられぬ。
▼北京の紫禁城内に星巴珈琲の出店あり。けして風景を壊すでもなく城内のいっかくの土産物屋などの並びにひっそり、でそれはそれでいいと余は思うが「中国文化の侮辱」として国内の観光客らに不評で近々城内より退散の由。わからぬでもない話。だが興味深きは満州族出自とする清朝の、この本来は黄河揚子江的な意味での中国からは異質な、異文化としての清朝のコテコテな北方趣味のこの宮殿を「中国の伝統」と当世、認識していること。太平天国から民国建国の「近代」革命が実は「滅満興漢」であったように、北京の故宮は伝統的な中国にあって<異質なる空間>であったはず。それがいつの間にか(おそらく人民共和国の建国以降のナショナリズムの刷り込みにより)中共の首都としての北京、その中心としての天安門広場と象徴的な故宮(実は故宮が全く空虚であり実際の政治空間は中南海なのだろうが)として、故宮も「中国の伝統文化」の一つと相成ったものか。そういう異文化としての故宮満州王朝としての清朝の異質さは、ベルナルド=ベルトルッチ監督が「これでもか」と描いて見せたのは記憶に新しいところ。であるから故宮スターバックス珈琲店があることは別に「中国文化の侮辱」ではなかろう。
▼英エコノミスト誌が米国大統領選の民主党候補としてヒラリー=クリントン女史の脆さ指摘しバラック小浜氏が本命と打つ。二年前の上院議員選挙立候補から応援してきた余としては嬉しいところだが(余が所有する当時の選挙キャンペーンのTシャツだの帽子は彼が大統領当選したらかなりオークション価格上がろう)オバマ氏の弱点もエコノミスト誌は指摘し、まず政治経験の浅さ(安倍三世と同じか)。年齢でいえばオバマ氏の45歳はJFKの43歳より年上。だがJFKは大統領就任までに兵役、6年の下院と8年の上院議員の経験があり米ソ冷戦期にあって米国代表するヒーローといった期待があったこと。また外交経験の乏しさ(これはブッシュも同じであったが)。また実は「喫煙家」という、現在の世界で貼られるともっとも始末におえぬレッテルもあり。政治家などさっさと禁煙しちまうことが票につながる気がするが大統領選挙の候補となるのに禁煙せぬ、というのはかなりの愛煙家、か。もちろん岩倉使節団の謁見受けたグラント大統領の葉巻やFDR大統領の紙巻き煙草、先日逝去したフォード氏のパイプ、実はブッシュ大統領のローラ夫人も煙草嗜むようで
Laura Bush reportedly sneaks a cigarette now and then between rounds with "The Brothers Karamazov".
とこの記事にあり……だが、この言い回しの意味不明。物知りのカナダ人M氏に尋ねると「大統領夫人はようするに煙草呑み」と言うだけのことなのだが、そこをエコノミスト誌であるからliteraryに書くわけで(ローラ=ブッシュ夫人は2000年7月に紐育時報のインタビューで愛読書はドストエフスキーの同書と答えている)、而も図書館司書の経歴ありの由。で『カラマーゾフの兄弟』を読みながら一服の図、が絵になるか。