富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-01-13

一月十三日(土)?出版というカメラ趣味関係多い出版社から出ている?文庫というのが何点かあり『魅惑のコンタックスTシリーズ』と『M型ライカヒストリーブック』という二冊を持っていたが稲垣徳文『旅、ときどきライカ』と内田ユキオ『ライカとモノクロの日々』の2冊、それにソフトバンクの『デジタルフォト』別冊『GR Digital Perfect Guide vol.2』を旭屋書店で購入。昼頃に九龍の観塘(官塘)。かつては観塘といえば香港の軽工業支えた工場ビル街とガサツな下町であったがMTR站前の老朽化した工業ビル取り壊しMillennium Cityなる再開発進みampなるショッピングセンターには香港初のモスバーガーなど入り話題に。観塘道を高架で走るMTRから海側のその開発の煽りで山側のガサツなる下町も再開発近し。土曜の午後でいつもにもまして芋を洗うが如き輔仁街あたり写真撮りながら散策。輔仁街の突き当たりにある雲南風味という雲南料理屋に久々に米線と紅油雲呑食す。美味。この下町を見下ろすかのように月華街には古い高級マンション街もあり。九龍ぢゅうからバスがこの官塘の、とくに紅色ミニバスが輔仁街のあたりに輻輳する態は壮観。早晩まで九龍で薮用済ませ旺角経由で中環。FCCの宴会間借りて所属のランニングクラブの新年会&総会。稲垣徳文『旅、ときどきライカ』は今日のうちにパラパラと読み終えてしまい会であったY氏に差し上げる。Y氏からはブルーガイド『てくてく歩き 四国八十八ヶ所ゆとりの旅』をいただく。
岩波書店『世界』十二月号で、寺島実郎氏が「バーチャル国家シンガポール 21世紀型先進国家として」という題で連載を書く。シンガポールの虚構を剥ぐかと当然のように思ったが、さに非ず、
その国家像は、21世紀の国家観を考察する上で極めて興味深い輝きを放っている。人口の75%を中国系が占めるため華僑国家といわれるが、驚くほどの多民族国家でもある。マレー系が15%、印度系が8%、人種の坩堝ともいえる多様性が活力の源泉である。
と誉めシンガポールに「笑顔の北朝鮮」などと批判的な人もいるが、
複雑な多民族社会情勢を背景に、ユーラシア大陸南端の小島を建国40年で今日の繁栄した国に変身させるために、リー・クアン・ユーが高い規範性を持ち込もうとしたことも十分に理解できる。外国からの訪問者にとって、タクシーの運転手から公務員までがモラルを維持し、不正や不安が少ないということは大きな価値なのである。(略)過去から未来へ、国のあり方を考えるとき、シンガポールは示唆的である。
と絶賛。寺島氏ほどの碩学が……。寺島氏はFar Eastern Economic Review誌10月号など読まれたかどうか。多民族国家、人種の坩堝は事実でも実際に華人の寡占が進み人種による経済格差が広がる現状。高い規範性(=徹底的な管理)で経済成長や社会的安定を維持する国家像が21世紀に示唆的か……唖然。本来であれば民族共存や平等、自由であって経済成長や社会的安定が維持されるのが理想ぢゃないかしら。

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