富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-12-29

十二月廿九日(金)安倍内閣メールマガジンの号外「編集部からのお知らせ」届き
安倍内閣メールマガジンの次号配信は1月11日の予定です。1月4日は休刊とさせていただきます。
とだけ告げる。「号外」どころか単に次号予告に過ぎず。あれ、さういへば毎週木曜朝の配信のはずが昨朝は届いていない? タイミングとしては行改相辞任で、その「釈明」のいい機会であったが、前二週はタウンミーティング「やらせ」について何の言及もなく、今回もこの逃げ。夢だの希望、いいこと尽くしならメールマガジンなど不要。タイミングよく自らの生の声で不祥事についても言及できるはず。年が明けて一月十一日になって「国民の皆さん、明けましておめでとうございます。安倍晋三です」では興ざめ。小泉さんなら言い訳であれメールマガジンで何らかの釈明に徹したであろうし一月四日に「今日から仕事始め」なんて配信をしていたかしら。かなりたまっている新聞や雑誌の切り抜きや定期購読しているものの八月以降たまってしまった雑誌を読んで整理しよう、と香港大学の図書館へ。自宅よりやはり図書館のブース机のほうが集中するのは確か。ただこの図書館の書架には日本文学の古典から三島、大江くらいまで、多くの本がまだ誰も頁を開いた形跡もなく所蔵されているから鏡花全集など眺め書架の間を歩くだけで垂涎。気が散って持参の資料に集中できぬ嫌いあり。3時間ほどかけて新聞雑誌の切り抜きの整理で雑誌まで目を通せずに終わる。香港大学の図書売店で2007年版の香港街道地方指南を購う。これを入手すると年の瀬。これほど毎年進化する地図帳は他になし。午後になりBonham Roadの馬来亜餐庁で遅めの昼食。蝦のラクサ。美味。西營盤に下り甘味の源記で蓮子緑豆沙を頬張る。西營盤で?仔飯の美味い坤記という食肆はお世辞にもキレイとはとても言えぬ、小汚い肆で路上に卓を並べ賑わっていたが、二年ほど来ておらぬ間に近隣に間口五間ほどの肆を構えるほどになり驚く。劉健威兄が西營盤に?仔飯の美味い食肆が出来て二晩も続けて食べた、と書かれたのが七、八年前のこと。飲食店が繁盛して店を拡張してキレイになると味が落ちる、という場合も少なくないが此処はどうかしら。皇后大道西から乾物商の並ぶ高陞街、珍しく骨董品のCat Streetを抜ける。Hollywood Rdに中国書局という百年一日の如く古びた文房具店あり。何年も前から四半世紀前のものか、パーカーやクロスのデッドストックっぽいペンが店頭に並ぶ。ふと気になって「ぺんてるのP207」があるかも?と店を覗くと同じシリーズのP203とP209(0.3mmと0.9mm)はこの店の大変に乏しい陳列商品の中にあり。0.7mmはない?と主人に尋ねると「確か、あったような……」と戸棚からP207が1ダース箱で出てくる。思わず1打買い占めようか?と思ったが「まだ製造は中止になっていない」という主人の言葉を信じて4本だけ購入。それでも「なんでそんなに買うんだ?」と主人は怪訝な表情。旧中央警察署の向い側を歩いていたらVogueという洒落た名前のオフィスビルの看板に警察署の洋館が面白く映るので写真を撮ろうと思ったら守衛が出てきて「写真を撮るな」と言われるのか、と思ったら「ライカか?」と。「レンズはね」と答えると守衛のオジサンは写真撮影が趣味でカメラはライカのM4-2でレンズはアダプター噛ませてキャノンのレンズを使っている、と言う。いろいろな組み合わせがあるものだ。オフィルビルの看板とって何が面白いんだ?と言うので、いや、ね、反射で映っている警察の建物が面白い、と、路上でありがちなオヤジどうしの写真談義。これも「ライカですね」ならでは、の世界。FCCハイボール一杯。中環のHanart TZ GalleryでD?sseldorf School of Photographyの写真家の写真展示あり、と知って出向いてみる。が写真は三点、どれもピンとこなかったがAndy Warholの「毛沢東」や魅了されるAlfred Siu(1982年)などあり、Tony Bevanという画家の絵がやけに印象に残る。市大会堂で一月の芝居のチケットなど購入し無印良品で雑貨購い帰宅。お好み焼き。NHKで日本より二時間遅れだかで今年の大相撲振り返る対談番組の放映ありデーモン小暮閣下の相撲評を聞き入る。
▼五年に一度の新聞マスコミ従事者の評価に基づく新聞マスコミの公信力評価結果発表される。一位は96年より三年連続で信報。二位がSCPM紙。三位以下、経済日報、明報、HK Standard、星島日報、蘋果日報(前回12位ⓠ7位)と続き、以下、無料タブロイドの都市日報、AM730、で経営破綻と噂される成報、親中紙ではまだ真っ当な文匯報、無料タブロイドの頭條新聞、親共の香港商報、大公報、でブービーが新報で最低評価が東方日報系の太陽報という結果。蘋果日報が予想以上に公信力ありと評価され、信報は堂々の一位だが前回5年前の調査では10点満点で7.63であったのが今年は7.10と、90年の第1回調査での同紙2位での7.42(90年はSCMP紙が1位)より低いことは着目すべき。
イラクで死刑確定のフセイン元大統領。イラク国民に対して「私の身を犠牲として捧げる。神が望むなら、私は真実の人間、殉教者として、列せられるだろう」と述べ、国民に団結求め「敵」に立ち向かうよう呼びかけ。フセイン氏に罪がないとは断じて言わぬが、百数十人の虐殺の罪が問われ、一方で他国侵略し数千名の命を奪った国の大統領は「正義」だの「自由」だのと嘯けるのは不公平。
▼信報に創刊以来頻繁に記事を寄せる關愚謙氏が手記で信報副刊で古典音楽評を寄せる孔在齊という人についてずっといったい誰なのか知らずに読んでいたが信報の元編集長の(現在は月刊信報に毎月のように旅行記など寄せる)の沈鑒治氏に孔在齊の音楽評あつめた新刊書を贈られ、孔在齊が誰だか關氏とは知己である關愚謙が初めてわかった、と。先日綴った加藤周一から吉田秀和への密かなエールといい、この話といい、年寄りが断然素敵に思えてならず。

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