富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-12-17

十二月十七日(日)摂氏13度と厳寒極まりなし。年末恒例で第12回目のThe Kadoorie Brothers Memorial Raceあり朝からZ嬢と新界のKadoorie農場。標高80mくらいにある農場の入り口から農園敷地内にある!標高650mだかの通称、観音山に向い走って登るレースで走っていると動悸の激しさで心臓が口から飛び出るほど。実際に時計の心拍数は168くらいに。5kmのレースということは1kmで100m登るのだから冗談ぢゃない。がえっちらこっちら「歩いて」登っていると(実際、この急坂だと走る=身体を宙に浮かす、より地道に早歩きのほうが速い)ずいぶん登ったところで中間地点の表示。そんなはずぢゃ……何かおかしい、と思ったらゴールが観音山でなく標高690mほどの名前知らずの峰の由。距離も6.5kmであった。48分台で97位。ゴールしてから応援者用バスで先に頂上に待機していたZ嬢に聞くと昨年もこのコースだったそうな(昨年は香港国際競馬と重なり余は参加せず)。観音山を見下ろす絶景。レース終わってZ嬢と農園内の遊歩道の山道を花や木漏れ日を愛でながらゆっくりと山下り。バスで昼過ぎの元朗。畏友William?達智君ら香港の食家の間で評判のNew York Cafe & Barという小さな食肆が元朗にあり場所もうる覚えだったが「食の本能」で確か大馬路の南で東の外れ……と意外と迷わずに場所探し当てZ嬢に感心されながら、遅めのランチ。羊肉のバーガーとサーロインステーキを二人でシェア。羊肉はミンチぢゃなくて薄切りヒレ肉、サーロインステーキは4ozは48ドルで、つまり1ozが12ドルと良心的。しかも確かにWilliam君の話では5ツ星ホテル並み、と賞する美味な、上質のステーキがこの値段で元朗で供される不思議。なんでも若いオーナーシェフはもともと元朗の土産だが北米に暮らし料理の腕を鍛えたが香港に戻りホテルからの誘いも断り生まれ故郷で庶民的な店を開いた由。若い方はご存知なかろうが山本嘉次郎監督が喜びそうな洋食屋である。香港では洋食屋の定番のボルシチのスープにこのメイン料理、それに自家製アイスクリームと珈琲がついて65ドル。お見事。陽がさせばバカ陽気の午後、元朗から天后までの長距離バスに1時間揺られ爆睡しながら香港島に戻る。晩にHappy Valleyの大坑道にお住まいのT氏宅で聖誕祭のパーティあり。御仏に仕える身、余は聖誕祭祝う習慣ないが実質は忘年会で毎年お招きいただき参加したこともなく葡萄酒持参でZ嬢とちょっとお寄りして旧知の方と暫し歓談。晩に尖沙咀のラーメンさんぱちで味噌らーめん。薄味で、とお願いしたがそれでも減塩にすっかり慣れたアタシは閉口。香港粛邦社主催のピアノコンサートで三晩続けてで今晩は大好きなPascal Rogeの演奏会。いつもサティやドビッシーなどフランスのピアノ曲ばかりのロジェ氏が今晩はLCO(倫敦室内楽団)のメンバーとモーツァルトのピアノ四重奏曲第1番ト短調K478が幕開け。モーツァルトのピアノ四重奏曲がわずか2曲だけ、と初めて知る。モーツァルトもやっぱりロジェ風。続く曲もまた独逸でマックス=ブルッフのピアノ、クラリネットビオラのための三重奏曲。三晩連続で聴くLCOのJoel Hunterというヴィオラ奏者の演歌調なヴィオラがいい。後半はセザール=フランクのピアノ五重奏曲ヘ短調。初めて聴いたフランクは「フランス市民革命後らしいベートーヴェン風」とでも形容すればいいかしら。この香港粛邦社主催のピアノコンサートは確か水曜日まで続き千秋楽はIlya Rashkovskiy君がLCOとシューベルトの「鱒」の由。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/