富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-12-06

十二月六日(水)いつもメモ書きに愛用のぺんてるの0.7mmのシャープペンシル(製品番号P207)はもう二十年くらい「こればかり」で手の届くところ、あちこちに置いてあるのだが、そのうちの一本が突然、不調来たし分解してみると驚くなかれ最も大切な芯の送り出し部分の芯を押える部分が摩耗して芯押え切れぬ状態に。この一本も十数年使っているはず。捨てるにも捨て切れず埋葬したいくらい。でせめて記念に、とリコーGRデジタルで接写してあまりの解析度に驚愕。このぺんてるの単純高性能のシャープペン、Pの200番シリーズは(十数年前にぺんてるの香港駐在の方もぺんてるが誇れる筆記具とおっしゃっていた)ぺんてるのサイトで見ると商品ラインナップに存在せず。生産中止か?と焦ったが海外輸出アイテムとしては残っている由(こちら)。見つけたらダース単位で買いだめせねば。早晩に薮用あり香港大学。同大の博物美術館で「心羅萬象 饒宗頤丙戌書畫展」を見る。香港大学でかつて教鞭もとった国学大家で自ら文画にも達筆な饒宗頤教授の卒寿祝う文人画展。しかも全ての文画が今年九十歳で描いたものだというから敬服するばかり。同博物館のY総館長にご挨拶。「列仙酒牌」と題した清朝の画家、任熊の画集二巻いただく。任熊は浙江省紹興蕭山の人。1857年に肺を病み35歳で逝去したが海上派の開祖として近代の中国国画に大きな影響与えたという。今回の展示は香港の中国美術コレクターとして著名な葉承耀医師(攻玉山房主人)所蔵のもの。FCCのバーでハイボール二杯。晩にHappy Valley競馬場にてInt'l Jockeys' Championshipあり武豊騎手は対象の3レースで4着、4着、2着と唯一3レースとも入賞し12ポイント獲得したが1着(12得点)に加え5着入賞で2点獲得したペリエ騎手が総合優勝。武騎手は他2レースでの1着騎手と同点で2位の結果。
NHKのNW9で来年春に巴里オペラ座公演控えた市川海老蔵君にインタビューあり。どうしても、ふと「パリジェンヌ手籠めに」とか想像してしまうがすでに前回の巴里公演ですっかり済んでおり実は堀越アントワーヌ君なんてのが巴里にいて十四代目は青い目の團十郎なんてことに……はならぬか。
▼「ほおずき」「巾着」に加え久が原のT君は「茶巾寿司」だった由。廉くて京樽、中級で八竹、奮発すれば宮内庁御用達「神楽坂・大〆」、なんて一席ぶてる善き時代も遠い昔となりに鳧、とT君。男子の場合、茶巾寿司に対して「海苔巻き」でもあったか。「手巻き」だとどこか風俗関係の俗語のようで、そうそう「昆布巻き」と申しましたら正月の「出の着物」の芸者を、あれですな、おめでたいところで背後から着衣のままで……なんて話は小沢昭一か。
▼昨日の蘋果日報が一面で「李澤楷我要真民主」と報じる。余は「李嘉誠の次男」と揶揄していたが李嘉誠ファミリーに於いて云わば鬼っ子的存在と化したリチャード君。父への不振は90年だったかの実母の死に際して父との確執が始まりと言われるが先日のPCCW巡る買収劇では父ばかりか北京中央も眉顰める。この「我要真民主」は来年の行政長官選挙においてリチャード君は投票権有する八百人の選挙人のうちIT業界の者に対してDMで“Your vote is crucial to achive real democracy”と語りかけ香港の民主発展への寄与呼びかけたもの。香港の財界人が内心は知らぬが親中的なのは当然でリチャード君がどういう覚悟か(何も考えていない、という推測も依然、あるが)かなりリスク高き主張。兄が父の訓え授かり確実に地味に後継者として振る舞うのに対して、この次男坊の反逆、端から見ていて面白い。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/