富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-11-27

十一月廿七日(月)2006年11月27日という、世間にとっては何でもないこの日が、競馬関係者にとってもジャパンカップの翌日、程度の日が北海道のばんえい競馬にとってはとても深刻な一日であったりする(斉藤さんの日記、こちら)。Kennedy Rdの香港設計中心にて新嘉坡のLeslie Keeなる写真家(見た目はほとんど田代まさし)がアジア各地の芸人やスポーツ選手だの所謂スター集めて撮った写真の展覧Super Stars参観。収益は慈善事業に寄付だかだそうで著名スターがかなり大胆なヌードなど披露し東京でもつい最近、表参道ヒルズで展覧の由。日本では千五百円だかの入場料で香港は無料。而もKennedy Rdのかなりアクセスの悪い場所ゆゑ平日など会場は数人の参観者のみ。まぁ芸人の脱いでなんぼ、の芸人根性とにいい意味で脱帽。ちなみにこの香港設計中心が近いうちに九龍に移転。此の洋館が前行政長官・董建華君の官邸?になるそうな。無駄。ところで墓地の鳥瞰写真はHappy ValleyのParsee Cemeteryはあまり人目に触れぬ場所。白黒写真の、墓地の石碑の写真は香港(紅毛)墳墓(HK Cemetery)もの。Parseeとはペルシア系のゾロアスター教徒で香港にはかなり長い足跡あり。晩に自宅でパスタ食してGeorges Duboeuf Morgonの04年飲む。食後Dalmoreをロックで飲む。栓が多少緩かったが数ヶ月そのままにしていたらモルトが梅酒のような味になる。それはそれで愉快。モルトといえば先週の週刊文春に保存版「シングルモルトウイスキーを知る、飲む、愉しむ」なる、明らかにサントリー提供の提灯特集あり。ウイスキーの「飲み方」はきちんと基本押えており、ロックの場合、まず氷を水でリンスして水を捨て氷を〆てから酒を注ぐことや水割りで氷たっぷりに酒を注ぎ十分にステアしてから天然水を入れること(ハイボールもほぼ同じだがサントリーが供するThe Premium Sodaなるソーダ水はちょっと使ってみたい)、ブレンダーが原酒テイスティングする際の1:1の(当然、氷なし)Twice Upにまで言及しているのは立派。
▼十八日の蘋果日報に経済評論で著名なる楊懷康氏(壹週刊社長)がMilton Friedman氏追悼の記事を書いているのが興味深い。フリードマンが香港の政経に関わった切掛けとなったのは1955年の印度訪問からの旅で香港に寄港したもの。この時に香港政庁の経済担当高官であったJohn Cowperthwaiteと出会い、Cowperthwaite氏はその後60年代に香港のFinancial Secretaryとなり、香港経済の飛躍的発展と生産力、貿易量増大の中で香港型自由主義市場経済の推進役として活躍。香港に立ち寄ったFriedmanは、自らが貨幣問題の専門家でありながら当時の香港の通貨政策が今ひとつ解せず米国総領事館の経済担当領事やCitibankHSBCの専門家に尋ねるがそれでも答えが出ず。でCowperthwaiteに「HSBCの専門家ですら香港ドルの発券の仕組みがよくわかっていないようだ」と香港の通貨政策を質すとCowperthwaite曰く「奴らに絶対にそんなこと解らせないほうがいい。せっかく上手くいっているのを奴らが壊すことになる」と言ったという(笑)。戦後の英国は労働党が政権を握り市場主義信奉する近経のエコノミストらは活躍の場を求め植民地香港へとやって来る。Cowperthwaiteもまさにその一人。今年の一月にCowperthwaiteも逝去。91歳。
▼小泉三世に比べ安倍某は話題性乏し。首相官邸への引越も朝日で社会面のベタ記事。辛うじて一段幅45mmの写真あり「引越にあたって首相はこの日、都内で工具セット、文房具などを購入」とおざなり。工具セット買い求めるのはいいが首相官邸という公共施設にかってにネジなど刺さぬようお願いしたいところ……くらいしかツッコミも話題もないわけで、これじゃ谷山浩子オールナイトニッポン(木曜深夜27時〜、ビートたけしが当時1部)ですら葉書に書いても話題にすらならなかったでしょう。

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