富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-11-15

十一月十五日(水)寝る間際ずっと『モンテクリスト伯』読んでいるつもりが全く進まず。たまに本を開いても筋すら漠然。登場人物が多く而も皆さん出自だの昔の名前隠して巴里の上流階級でブリブリと振る舞うため誰だが誰だか。早朝、あらためて登場人物をまとめメモにする。昼に来港中のY君と一緒にHappy Valleyの譽満坊に食す。高級飲茶店として一斉風靡して十数年。十年ぶりくらいに訪れたが店員は三流茶餐庁の如く弛れ、帳場や洗面所あたりは乱雑。これであの客単価?と呆れる。数ヶ月ぶりのまともな降雨。気温下がる。風邪気味。Y君の泊まるIsland Shangri-la Hotelに寄る。香港のホテル料金高騰凄まじ。普通の海景の一部屋で一泊5万円強。佐敦の国貨・裕華百貨公司にY君の買い物付き合う。Y君と尖沙咀で別れる。奇事あり。筆にすること能はず。早晩にZ嬢と落ち合い尖沙咀はAustin Avenueの北京水餃店に食す。餃子の美味さでは香港でも屈指。丁寧に拵えた、歯ごたえのある餃子の皮。肉と韮の飴も見事。店員らの話す北の方言もまた餃子を美味く感じさせる。科学館にて寺山修司映画特集も最後で短編実験映画集その2。1977年に撮影された「マルドロールの歌」「一寸法師を記述する試み」「二頭女−映画の影」「消ゴム」「書見機」の5本。 アタクシには意味が全然わからぬ。実験映画というが77年といえば「ぴあ」が自主制作映画の登竜門となったぴあフィルムフェスティバルの前身たる「ぴあ展」開催の年、と思うと「前衛」としては寺山修司が77年でこれ?と多少疑問もあり。映画の技術的な実験性と美しさではずっと昔のコクトーがもっと優れる。但し寺山映画の一連の音楽担当したJ A シーザーによる曲はいいのが多い、と思う。今晩で今回の寺山特集はお終い。「ボクサー」は見ず短編集その1見逃す。それにしても香港でこうして今回の寺山修司にせよ、小津や溝口は当然のように、鈴木清順今村昌平といった監督の映画特集で日本でなら絶対にこんなに沢山は見られないという数の映画見続けられるのは幸せ。ところで(こんなこと誰も綴っておらぬだろうから綴っておくが)香港の優れたコンサートチケット販売網(日本では「ぴあ」にあたるが香港は公共)である城市電脳售票網(URBTIX)のシステムが変わり(切符売り場窓口では今回の新しいIBMのシステムはかなり使い勝手が悪い由)チケットが少なくても余の知るかぎりで16年ずっと変わっておらぬデザインはもうこれが最後。蒐集癖も全く起きぬ変哲ないデザインのチケットであったが、これも最後かと思うと、あまりに目に焼きついた図案。何百枚これを入手したのかしら(全てスクラップ帖のあちこちに貼ってはあるが)。映画終わり外に出ると気温は摂氏20度くらいだろうか。突然、セーターや薄手のコート姿の者少なからず。帰宅途中『モンテクリスト伯』の第四巻読了。ちょっと、のつもりで第五巻読み始めたら眠気が失せ結局一気に読了。
▼一昨日の蘋果日報に余杰という人が紹介する廈門大学の話。廈門大学で中国国内でも最優なる水準のゴルフ練習場を校内に開設。学長誇らしげに曰く、社会引率するエリート育成の精鋭教育の一環としてビジネス管理、法律、経済、電脳の学生はゴルフ課程は必修、と。呆れるばかり。

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